セッション情報 一般演題

タイトル 104:

膵管癒合不全を伴った十二指腸乳頭括約筋機能不全症の1例

演者 川畑 活人(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 橋元 慎一(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 有馬 志穂(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 中澤 潤一(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 田口 宏樹(鹿児島大学病院 光学医療診療部), 那須 雄一郎(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 佐々木 文郷(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 上村 修司(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 瀬戸山 仁(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 沼田 政嗣(鹿児島大学病院 光学医療診療部), 船川 慶太(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 藤田 浩(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 今回胆道内圧測定にて診断しえた十二指腸乳頭括約筋機能不全症(SOD)の1例を経験した.症例は31歳,女性.20XX年1月,心窩部痛で近医を受診したが血液検査や腹部超音波検査などで異常を指摘されなかった.心窩部痛は食後に増悪し,次第に増悪傾向であった.また症状出現時に肝胆道系酵素の上昇を認めたが,CT ,MRCPで異常は認められず,ERCPでも器質的病変は指摘されなかった.十二指腸乳頭括約筋機能不全症が疑われ,精査加療目的に当科紹介入院となった.当科入院時採血ではAST 14IU/L,ALT 13 IU/L, ALP 160IU/L, T-Bil 1.1, γ-GTP 53 IU/Lとγ-GTPの軽度上昇を認めるのみであった.MRCPで膵管癒合不全を認めたが,膵炎の所見を認めなかった.胆管造影では造影45分後に造影剤の貯留を認めた. 以上より胆道痛, 造影剤排泄遅延を認めることからMilwaukee分類typeIIのSODと診断した.胆道内圧測定(SOM)では基礎圧が平均40mmHg程度に上昇していた.内視鏡的乳頭切開術(EST)を施行したところ腹痛は改善し,退院となった.SODは胆道痛,肝機能異常,総胆管拡張,造影剤排泄遅延の4つの所見の有無によりそれぞれtype I,II,IIIに細分される.上腹部痛を認めるものの画像検査で明らかな異常を認めない場合,SODを疑うことが重要であり,SODの診断にはSOMが有用である.膵管癒合不全症例ではしばしば膵炎を発症するが,本症例では症状出現時の膵酵素は正常であり,SODに矛盾しないものと思われた.SODと膵管癒合不全は共に原因不明の腹痛の原因となりえるが,両者合併の本邦報告例は1例のみで非常に稀である.文献的考察を含めて報告する.
索引用語 十二指腸乳頭括約筋機能不全症, 膵管癒合不全症