セッション情報 一般演題

タイトル 126:

肝内胆管癌術後に発症したdesmoid type fibromatosisの一例

演者 久米村 秀(霧島市医師会医療センター)
共同演者 井上 真岐(霧島市医師会医療センター), 風呂井 彰(霧島市医師会医療センター), 二渡 久智(霧島市医師会医療センター)
抄録 症例は57歳男性。アルコール性肝硬変、食道静脈瘤で当院外来通院中、定期検査で発見された肝S4の肝内胆管癌に対して、H23年9月に肝内側区域切除、Hassab手術を行った。H24年2月の術後定期検査のCTで肝切除部位の近傍に結節性病変が出現しており、徐々に増大傾向を示した。腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。H25年7月のCTで再発を疑う腫瘤を指摘された。PETでは異常集積を認め腹膜播種、局所再発を疑われた。他に転移、再発を疑う病変はなく、 診断的摘出術を行った。肝外側区域下面に鶏卵大の腫瘤が大網に被覆され、肝円索断端を巻き込むように存在した。肝実質との連続性は認めなかった。腫瘍の肉眼的所見は50x48x34mmで割面は境界明瞭な白色充実性結節であった。病理学的にはdesmoid-type fibromatosis、solitary fibrous tumor、extra-gastrointestinal stromal tumor等が鑑別診断に挙げられた。免疫染色の結果、CD31、CD34、SMAは結節内の血管壁にのみ陽性、C-kitは陰性であった。EMA、CK7の免疫染色では陽性細胞は認めなかった。MIB-1陽性細胞は5%以下であった。以上からdesmoid-type fibromatosisの診断であった。デスモイド腫瘍はデスモイド型線維腫症とも呼ばれ、腹壁・腹壁外デスモイド、腹腔内デスモイドに大別される。腹壁外デスモイドの報告は数多く見られれるが、腹腔内デスモイドは比較的まれである。デスモイド腫瘍の成因は明らかではないが、組織修復に関与する遺伝子異常が存在し、これに手術や外傷などの刺激要因が加わることで発現するとの説がある。治療は切除が原則とされるが、切除しても再発の報告もあり慎重な経過観察が必要とされる。肝細胞癌術後再発と診断したdesmoid-type fibromatosisの1例を経験したので報告する。
索引用語 desmoid, デスモイド