セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専57:

IgG4関連硬化性胆管炎とIgG4関連自己免疫性肝炎の合併が疑われた一例

演者 森田 祐輔(国立病院機構別府医療センター消化器内科)
共同演者 松尾 亨(国立病院機構別府医療センター消化器内科), 和田 将史(国立病院機構別府医療センター消化器内科), 杣田 真一(国立病院機構別府医療センター消化器内科), 鶴田 悟(国立病院機構別府医療センター消化器内科), 良永 雅弘(国立病院機構別府医療センター消化器内科), 酒井 浩徳(国立病院機構別府医療センター消化器内科), 吉河 康二(国立病院機構別府医療センター病理診断科), 武藤 庸一(国立病院機構別府医療センター消化器内科)
抄録 【症例】60歳代女性【既往歴】2型糖尿病、高血圧、両側乳癌術後。前医で2009年3月に自己免疫性肝炎、2010年9月に全身性エリテマトーデスと診断。【現病歴】2013年2月、左肺癌に対し当院外科にて左肺切除術を施行。3月の血液検査で総ビリルビン値と肝胆道系酵素の上昇を認め、精査目的にて当科紹介となった。【血液検査所見】T-Bil 2.23 mg/dl, AST 152 IU/l, ALT 70 IU/l, ALP 329 IU/l, γ-GTP 145 IU/l, CRP 0.45 mg/dl, PT 78%, CEA 5.7 ng/ml, CA19-9 78 U/ml, HCV-Ab(-), HBs-Ag(-), IgG 2600 mg/dl, IgG4 438mg/dl【経過】腹部CTでは総胆管の壁肥厚を認めた。MRCPでは総肝管から総胆管までの壁肥厚と下部胆管の狭窄・肝門部の長い狭窄を認め、その末梢胆管は軽度拡張していた。主膵管には異常を認めなかった。ERCPでも胆管像は同様の所見であり、胆汁細胞診は陰性であった。高IgG4血症と胆管像からIgG4関連硬化性胆管炎を疑い、確定診断目的にUSガイド下経皮的肝生検を施行した。病理組織所見では門脈域はリンパ球・形質細胞および好中球の浸潤により拡大し、中等度から高度のInterface hepatitisを伴っていた。肝細胞は腫大し多核巨細胞を多数認めた。肝細胞のロゼット形成も認め自己免疫性肝炎に合致する所見であった。IgGとIgG4の免疫染色では同一視野での陽性細胞はIgG4/IgG 39.6%であり、多数のIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めた。IgG4関連硬化性胆管炎とIgG4関連自己免疫性肝炎の合併例が疑われ、UDCA 600mgと副腎皮質ステロイドPSL 30mg/日より開始した。しかし肝機能検査値の改善は得られず、ステロイド抵抗性と判断しアザチオプリン50mgを併用した。併用開始後より徐々に肝機能改善を認め、PSLは漸減可能となった。【まとめ】近年、自己免疫性肝炎と診断された症例の中に血清IgG4高値や組織中の著明なIgG4陽性形質細胞浸潤などIgG4関連疾患に特徴的な所見を有する症例があることが判明し、IgG4関連自己免疫性肝炎として報告されている。同疾患の本邦報告例は稀であり、文献的考察を加え報告する。
索引用語 自己免疫性肝炎, IgG4関連硬化性胆管炎