セッション情報 | シンポジウム1「高齢者に対する消化器病診療と今後の展望(消化管、肝胆膵)」 |
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タイトル | S1-11:80歳以上の肝細胞癌症例に対する肝切除の安全性と問題点 -E-PASSを用いた評価- |
演者 | 日高 匡章(長崎大学 移植・消化器外科) |
共同演者 | 高槻 光寿(長崎大学 移植・消化器外科), 夏田 孔史(長崎大学 移植・消化器外科), 曽山 明彦(長崎大学 移植・消化器外科), 北里 周(長崎大学 移植・消化器外科), 足立 智彦(長崎大学 移植・消化器外科), 山下 万平(長崎大学 移植・消化器外科), 森田 道(長崎大学 移植・消化器外科), 釘山 統太(長崎大学 移植・消化器外科), 米田 晃(長崎大学 移植・消化器外科), 虎島 泰洋(長崎大学 移植・消化器外科), 藤田 文彦(長崎大学 移植・消化器外科), 金高 賢悟(長崎大学 移植・消化器外科), 南 恵樹(長崎大学 移植・消化器外科), 黒木 保(長崎大学 移植・消化器外科), 江口 晋(長崎大学 移植・消化器外科) |
抄録 | 【背景と目的】近年、肝切除周術期管理の進歩により、高齢者に対しても安全に肝切除が施行できるようになってきた。今回、80歳以上の超高齢者症例において手術リスク評価法であるE-PASS(Estimation of Physiologic Ability and Surgical Stress)を用いて、高齢者肝切除の安全性と問題点を検討した。 【方法】2005年4月から2013年3月肝細胞癌に対して肝切除を施行した195例中、80歳以上18例(以下、高齢群)と60歳未満38例(以下、若年群)で、背景因子、腫瘍因子、手術因子、E-PASS(術前リスクスコア(Preoperative risk score: PRS), 手術スコア(Surgical stress score: SSS), 総合リスクスコア(Comprehensive risk score: CRS))、手術成績について検討を行った。 【結果】背景因子では、若年群でB型肝炎が多く、高齢群では非B非C性肝炎が多く見られた。腫瘍因子は若年群でAFPが有意に高値であった。肝予備能、手術因子では両群間に差は認めなかった。PRSは高齢群で有意に高値であったが(高齢0.50, 若年 0.20, p<0.01)、SSS(高齢0.50, 若年 0.49, p=0.45)、CRS(高齢0.60, 若年 0.41, p=0.64)は両群間で差を認めなかった。術後合併症率は高齢群72.2%(創感染3例、せん妄3例、胆汁漏2例、胸腹水2例、急性腎不全1例、重複あり)、若年群50%であり、高齢者で多い傾向を認めたが、有意差はなかった(p=0.20)。しかし在院日数は高齢者群で有意に延長していた(高齢27日vs.若年16日, p<0.01)。術後30日以内死亡を若年で1例認めたが、高齢群では認めなかった。1年/3年生存率は高齢群:93.3/67.8%、若年群:88.6/64.6%で差を認めなかった。 【結語】超高齢者では術前リスクスコアは若年者に比べると高値であったが、合併症発症率で若年群と差を認めなかった。しかし、高齢者では一旦合併症を発症すると有意に入院期間が延長することが分かった。今後、早期リハビリや合併症予防が高齢者肝切除で重要となることが示唆された。 |
索引用語 | 高齢者, 肝切除 |