セッション情報 |
ワークショップ3「進行肝細胞癌診療の現状と問題点」
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タイトル |
WS3-02:当科における進行肝細胞癌治療の現状と肝持続動注化学療法の位置づけ
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演者 |
首藤 能弘(大分循環器病院消化器内科) |
共同演者 |
森 哲( 森内科医院), 山下 勉(大分医療センター消化器内科), 織部 淳哉(大分医療センター消化器内科), 本田 浩一(大分医療センター消化器内科), 高橋 祐幸(大分循環器病院消化器内科), 清家 正隆(大分大学医学部付属病院肝疾患相談センター), 村上 和成(大分大学医学部消化器内科) |
抄録 |
【目的】当科で経験した肝持続動注化学療法症例(HAIC)とソラフェニブ(Sora)使用症例について比較し進行肝細胞癌治療の現状とHAICの位置づけを考察した. 【対象・方法】対象は,1998年3月~2013年2月に当科でHAICを施行した125例.男性98例,女性27例.平均年齢67.9歳.2009年8月~2010年6月にSoraを投与した64症例.男性55例,女性9例.平均年齢68.5歳.尚Sora投与前後にHAICを施行した例はSora症例とした.検討項目:1) Sora症例とHAIC症例の背景を比較.2) Sora症例とHAIC症例の治療効果を比較.3) Sora症例とHAIC症例の中止率、中止理由等の検討. 4) Sora症例とHAIC症例の予後を比較.5)進行肝癌症例の予後に寄与する因子の検討.【結果】1) Sora症例の方がChild-Aが多く(p=0.0201)、遠隔転移例が多かった(p<0.0001).2) Sora症例とHAIC症例の判定可能であった症例の治療効果(CR/PR/SD/PD)はそれぞれ0/2/3/22と6/21/55/22であった.3) 36例中20例(55.6%)でSoraの減量または中止が必要であった.中止理由は皮膚症状8例,消化器症状5例,血圧上昇2例,血小板低下2例などであった.HAIC症例の減量中止は37/110(33.6%)であった.4) Sora症例とHAIC症例の生存曲線は今のところ重なっている(p=0.3356).MSTはSora症例368日,HAIC症例647日.StageIV-Bでは有意差はないがHAICの方が良好である傾向があった(p=0.0934).5)進行肝癌の予後因子はChild-A,StageIV-B以外, 最大腫瘍径≦30mmであった.【考察】HCC治療後長期予後を得るためには、肝機能の温存を考えながら治療法を選択していく必要がある.Soraの出現により、更に治療の選択肢が広がった.Soraの奏効率は低いものの比較的短期間で転移巣の腫瘍内壊死や縮小など画像上での抗腫瘍効果が認められた.しかしながら中止率はHAICに比べ高かった。Soraの適正な投与方法の確立あるいは選択基準を明らかにする必要があると思われた.【結語】進行肝癌の予後を改善するにはSoraの今後適正な投与方法の確立が望まれる. |
索引用語 |
肝癌, 肝持続動注化学療法 |