セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専34:

サイトメガロウイルス感染を契機に増悪した潰瘍性大腸炎の一例

演者 浜比嘉 一直(社会医療法人敬愛会 中頭病院 消化器内科)
共同演者 石川 真(社会医療法人敬愛会 中頭病院 消化器内科), 吉村 美優(社会医療法人敬愛会 中頭病院 消化器内科), 崎原 正基(社会医療法人敬愛会 中頭病院 消化器内科), 石原 健二(社会医療法人敬愛会 中頭病院 消化器内科), 安座間 欣也(社会医療法人敬愛会 中頭病院 消化器内科), 知念 隆之(社会医療法人敬愛会 中頭病院 消化器内科), 石原 淳(社会医療法人敬愛会 中頭病院 消化器内科), 座覇 修(社会医療法人敬愛会 中頭病院 消化器内科), 石原 昌清(社会医療法人敬愛会 中頭病院 消化器内科), 金城 福則(琉球大光学医療診療部)
抄録 【はじめに】潰瘍性大腸炎の治療経過中に増悪する症例のうち、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染を契機とする症例が報告されている。今回CMV感染を契機に増悪した潰瘍性大腸炎に対して、ガンシクロビルが奏功した一例を経験したので報告する。【症例】73歳、男性。平成23年8月に検診で便潜血陽性を指摘され下部消化管内視鏡検査が施行された。内視鏡所見で直腸に限局する非特異的な炎症はあるが、肉眼所見や病理では潰瘍性大腸炎に特徴的な所見はなく無症状であることから経過観察としていた。平成24年4月に1週間前から持続する水様便と間欠的な血便を主訴に受診した。下部消化管内視鏡検査を施行し、直腸から脾弯曲部まで連続する全周性の粘膜の粗造、発赤病変がみられた。病理では大腸粘膜のgoblet cellが減少し、強い炎症細胞の浸潤がみられた。潰瘍性大腸炎(左側結腸型)と診断し、メサラジン2250mg/日を開始した。治療後は水様便や血便は改善していたが、3ヶ月後に左下腹部痛が出現し、粘血便もみられたため下部消化管内視鏡検査の再検を行った。大腸粘膜は易出血性で浮腫が強く、潰瘍性大腸炎の再燃が疑われ同日より入院した。プレドニゾロン30mg/日を開始し、左下腹部痛と粘血便の軽減が見られた。便汁培養では病原性腸内細菌は陰性で、血清中のCMVアンチゲネミアが陽性であったため、第4病日よりガンシクロビル300mg/日を開始した。その後左下腹部痛と粘血便は消失し、第11病日にCMVアンチゲネミア陰性を確認した。ガンシクロビルは第17病日で終了し、2日後の下部消化管内視鏡検査では大腸粘膜の炎症は改善しており、第21病日に退院した。【結語】CMV感染が潰瘍性大腸炎の増悪する原因と考えられた。潰瘍性大腸炎が増悪する際は、CMVの検索が必要と思われ、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, サイトメガロウイルス