セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研19:

タクロリムスが奏功した壊疽性膿皮症合併潰瘍性大腸炎の1例

演者 宮後 冴(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野)
共同演者 坂口 舞(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 山本 章二朗(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 上原 なつみ(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 鈴木 翔(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 宮原 昌子(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 竹田 幸子(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 夏田 朱一郎(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 山路 卓巳(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 三池 忠(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 安倍 弘生(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 岩切 久芳(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 蓮池 悟(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 永田 賢治(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 下田 和哉(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野)
抄録 【はじめに】タクロリムスが奏功した壊疽性膿皮症合併潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)の1例を経験したので、報告する。【症例】62歳、男性。34歳時にUCを発症したが、初回治療後は増悪なく、通院を自己中止していた。201×年10月より5~6回/日の血便が出現し、前医受診。大腸内視鏡検査(Colonoscopy:CS)でMayo score 3であり、UC再燃(全大腸炎型)と診断、また肛門瘻孔・肛門周囲膿瘍も認めた。PSL80mg/日、5-ASA 4g/日、抗生剤にて血便は改善したが、肛門周囲膿瘍が悪化し、11月に双孔式回腸人工肛門造設術を施行された。術後は人工肛門より5-ASA注腸、ステロイド注腸を開始され、肛門周囲膿瘍も改善した。PSLは5mg/日まで漸減され、CS上もMayo score 1に改善していた。翌年4月中旬頃よりストーマ周囲の発赤・腫脹、38℃の発熱を認め、皮下膿瘍の診断で抗生剤を開始されたが改善せず、血便も出現するようになった。CS上、UC再燃と判断され、ストーマ周囲には激しい疼痛を伴う潰瘍を形成していたため、タクロリムス、抗生剤を開始された。PSL80mg/日も追加されたが全身に皮膚潰瘍が多発し、当科転院となった。当科入院時、ストーマ周囲に強い疼痛を伴う潰瘍を認め、前胸部、下肢、顔面、頭部にも潰瘍が多発していた。また、肛門からは2~3回/日の粘血便を認めた。CSでは横行結腸~下行結腸を中心に潰瘍を認め、Mayo score 3の所見であった。タクロリムスは血中濃度をモニターしながら継続し、PSLは漸減、人工肛門からの5-ASA注腸を開始した。皮膚潰瘍は臨床像よりUCに伴う壊疽性膿皮症と診断された。タクロリムス開始から7日目には血便は消失し、その後徐々に皮膚潰瘍は治癒傾向を認めた【考察】壊疽性膿皮症は炎症性腸疾患や悪性疾患、甲状腺疾患など多くの疾患に合併することが知られているが、標準的な確立された治療法はない。今回、壊疽性膿皮症合併UCに対し、タクロリムスにて加療し、壊疽性膿皮症およびUCいずれも改善傾向を示した症例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, タクロリムス