セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研28:敗血症を契機にcolon cast排泄を伴う広範囲な虚血性大腸炎を来たした1例 |
演者 | 岩尾 浩昭(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野) |
共同演者 | 坂口 舞(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 山本 章二朗(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 安倍 弘生(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 上原 なつみ(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 鈴木 翔(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 夏田 朱一郎(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 橋本 神奈(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 山路 卓巳(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 三池 忠(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 岩切 久芳(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 田原 良博(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 蓮池 悟(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 永田 賢治(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 佐藤 勇一郎(宮崎大学医学部病理学講座 構造機能病態学), 丸塚 浩助(宮崎大学医学部病理学講座 構造機能病態学), 下田 和哉(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野) |
抄録 | 【症例】65歳、女性。帝王切開術の既往あり。201×年肺癌(StageIIIA)に対し右肺下葉切除術を施行され、3月に術後化学療法を開始された。4月に骨髄抑制による汎血球減少、肺炎、敗血症性ショックのため、前医入院となり、集中治療室にて人工呼吸器管理の上、種々の加療を施行され、状態は改善した。経過中、下痢、血便が出現し、大腸内視鏡検査(CS)では横行結腸~直腸までほぼ全周性に潰瘍を認めた。便培養でMRSAが検出されたことからMRSA腸炎として加療されたが、MRSAが陰性となった後も血便、下痢が続いたため、狭義の炎症性腸疾患が疑われ、メサラジンが開始された。その後血便は改善したが、下痢が持続するため、201×+1年4月に当科紹介となった。当科で施行したCSではS状結腸に全周性の狭窄を認め、鏡体の通過は困難であり、直腸には潰瘍瘢痕が多発していた。注腸造影で大腸全体が短縮しており、横行結腸~下行結腸にかけてハウストラの消失、鉛管状変化を認め、粘膜面は顆粒状で内腔は狭小化していた。またSD junctionに相当する部位に狭窄を認めた。狭窄部位より生検を行ったが、特異的な炎症所見は認めなかった。内視鏡および注腸造影の所見から炎症性腸疾患の可能性も考えられたが、患者家族より、血便後に腸管様の長い索状物の排泄があったという訴えがあり、colon cast排泄を伴う虚血性大腸炎を発症し、その後に腸管狭窄を来たしたと考えた。現在、狭窄症状はなく、経過良好である。【考察】colon castは虚血により大腸壁が脱落する病態で、腹部大動脈瘤術後など結腸に強い虚血が生じた状態で発症することが多いとされるが、その頻度は比較的稀である。今回、我々は敗血症性ショックに伴い、colon cast排泄を伴う横行結腸から直腸までの広範囲に及ぶ虚血性大腸炎の1例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | colon cast, 虚血性大腸炎 |