セッション情報 一般演題

タイトル 118:

非典型的画像所見を呈した膵頭部膵神経内分泌腫瘍の1例

演者 川地 眸(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院)
共同演者 許斐 裕之(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院), 山本 猛雄(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院), 佐伯 潔(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院), 森山 大樹(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院), 村上 光彦(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院), 松本 耕太郎(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院), 大城戸 政行(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院), 加藤 雅人(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院), 本下 潤一(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院), 一宮 仁(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院)
抄録  膵悪性腫瘍の約8割以上は膵管上皮より発生する。通常型膵癌は主膵管へ容易に浸潤し、同部の狭窄とその尾側膵管の拡張を来す。CTでは後期相で軽度の造影効果を認める乏血性腫瘤像を呈することが多い。一方、膵神経内分泌腫瘍(PNET)は膵腫瘍の1~2%で、膵の内分泌細胞や神経細胞に由来する血流に富む腫瘍である。PNETの典型例はCTで類円形、辺縁整、内部均一な充実性腫瘤であり、造影早期相で濃染像を、膵管は正常もしくは圧排像を呈することが多い。今回このような典型的所見を示さなかったPNETの切除例を経験したので報告する。 症例は66歳、男性。2型糖尿病治療中に血糖コントロールが不良となり前医入院となった。スクリーニング目的の腹部エコー検査にて膵頭部の石灰化を伴う28mmの低エコー腫瘤と体尾部主膵管の拡張を認め、当科紹介となった。CTでは境界不明瞭な低吸収腫瘤で、造影効果は軽度であり、EUSでは膵頭部の辺縁不整な内部に石灰化を伴う充実性低エコー腫瘤であり、血流は認めなかった。主膵管は腫瘤近傍で描出されず腫瘤の上流では8mmと拡張し膵実質の委縮を伴い、膵周囲に腫大リンパ節が散見された。慢性膵炎や通常型膵癌を疑い確定診断のためEUS-FNAを施行しPNET G1と診断された。PNETの診断で膵頭十二指腸切除術、2群リンパ節郭清を行った。病理組織学的診断はPNET G2、ソマトスタチン弱陽性であり高度の神経浸潤、リンパ節転移を認めた。 本症例では慢性膵炎に伴う腫瘤形成や通常型膵癌を疑いEUS-FNAにてPNETの診断に至った。造影早期相から濃染を示さず、膵管の不整な狭窄または途絶を呈するような非典型PNETでは比較的悪性度が高いと報告されている。今回経験した、乏血性低吸収腫瘤、石灰化を伴う腫瘤、主膵管狭窄といった画像検査で非典型的PNETを診断することは困難であるが、慢性膵炎に伴う腫瘤形成性膵炎、通常型膵癌とともに悪性度の高いPNETの可能性を念頭に置いてEUS-FNAや可能ならば膵切除などの病理診断につながる手段を考慮すべきと考えた。
索引用語 PNET, 画像