セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専02:

肝硬変を合併した食道癌の一切除例

演者 林 直樹(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学)
共同演者 内門 泰斗(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学), 奥村 浩(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学), 尾本 至(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学), 喜多 芳昭(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学), 佐々木 健(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学), 松本 正隆(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学), 大脇 哲洋(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学), 有上 貴明(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学), 上之園 芳一(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学), 石神 純也(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学), 夏越 祥次(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学)
抄録 【はじめに】肝硬変を合併する食道癌は、肝予備能の低下、汎血球減少などがあり、その治療方法の選択には、熟慮が必要である。今回、肝硬変を合併した食道癌の一切除例を経験したので、報告する。【症例】61歳女性で、アルコール依存症により多量飲酒歴があり、近医にてアルコール性肝硬変で経過観察中であった。2013年5月上部消化管内視鏡検査で胸部中部食道に白色隆起性病変を認め、生検で、High grade intraepithelial neoplasiaの診断で、精査加療目的に当科紹介入院となった。精査の結果、胸部下部食道癌、LtMt、長径61mm、右前壁中心、0-IIc+”0-Is”、表層拡大型、cT1b(SM2)N0M0 cStage Ib、胆嚢結石症と診断した。肝硬変の肝障害は、肝障害度A、Child-pugh: A、ICG R15:13.2、GSAシンチ:HH15 0.67、LHL15 0.875で、肝予備能軽度低下、白血球;2920個、ヘモグロビン;10.9g/dl、血小板;3.9万と汎血球減少を認め、血中アンモニア値;87、脾腫、脾門部の静脈瘤、肝円索は開通、皮下静脈瘤を認めた。また、鼻腔MRSA感染陽性であった。縦隔鏡下食道切除術、胃管後縦隔経路再建頚部吻合、腸瘻造設、センチネルリンパ節mapping併設、胆嚢摘出術を行った。手術前日に濃厚血小板輸血10単位行い、術中にも10単位、術直後にも10単位を輸血し、出血を抑制した。脾門部静脈瘤を損傷することなく、手術を終了でき、出血量は670mlであった。切除標本の病理結果は、Well differentiated Squamous cell carcinoma, 0-IIc+Is型, 70x24mm, pT1a-MM, ly1, v0, N2(#1, 1/18), M0、pStageIIであった。術後、一時的に肝酵素の上昇を認めたが、改善し、術後7日目には食事を開始でき、大きな合併症を引き起こすことなく、術後14日目には紹介医へ転院となった。【まとめ】肝硬変を合併する食道癌の治療法の選択については、肝予備能を十分に検索し、手術に於いては術後合併症を回避するために低侵襲手術の選択、手術前からの血小板輸血などの対策を行っておく必要があり、今回、肝硬変を合併した食道癌に食道切除再建術を行い、術後良好な経過をたどった症例を経験したので、報告する。
索引用語 食道癌, 肝硬変