セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専43:発熱と多発性の結腸潰瘍を来したRaoultella属による細菌感染症の1例 |
演者 | 竹田 幸子(宮崎県立延岡病院 内科DELIMITER宮崎大学医学部 内科学講座 消化器血液学分野) |
共同演者 | 中村 憲一(宮崎県立延岡病院 内科DELIMITER宮崎大学医学部 内科学講座 消化器血液学分野), 山本 章二朗(宮崎大学医学部 内科学講座 消化器血液学分野), 外山 孝典(宮崎県立延岡病院 内科), 石原 明(宮崎県立延岡病院 病理診断科), 鈴木 翔(宮崎大学医学部 内科学講座 消化器血液学分野), 安倍 弘生(宮崎大学医学部 内科学講座 消化器血液学分野), 三池 忠(宮崎大学医学部 内科学講座 消化器血液学分野), 下田 和哉(宮崎大学医学部 内科学講座 消化器血液学分野) |
抄録 | 【はじめに】繰り返す高熱の精査で、Raoultella属の感染によると思われる多発性結腸潰瘍を認めた症例を経験したので報告する。【症例】78歳、男性。【主訴】発熱。【既往歴】3歳:肋膜炎手術、25歳:虫垂炎・腹膜炎手術、77歳:間質性肺炎(ステロイド投与歴あり)。【現病歴】201X年3月より38-39℃の高熱が持続し、その後血圧が低下し、当院に搬送された。搬送時、好中球優位の白血球上昇、プロカルシトニン高値を認め、重症細菌感染症が考えられたが、発熱以外に特記すべき所見は認めず、熱源は確定できなかった。抗菌薬、輸液や昇圧剤、ナファモスタットメシル酸塩、免疫グロブリン製剤等により全身状態が改善し、解熱したが、再度発熱した。下痢や血便、腹痛などの腹部症状はなかったが、熱源検索のため、大腸内視鏡検査(CS)を施行したところ、横行結腸を中心として盲腸からS状結腸に多発性潰瘍を認めた。潰瘍の配列に規則性はなく、潰瘍周囲に紅暈と隆起を有し、潰瘍には黄白色の汚い白苔が付着しており、介在粘膜の血管透見は良好であった。潰瘍辺縁からの生検では、特に粘膜下層に強い好中球などの炎症性細胞浸潤を認めた。結腸組織・腸液・便からRaoultella(R). planticola、R. ornithinolyticaが検出された。その他の有意な感染や血管炎、膠原病を示唆する所見は得られず、その後、結腸潰瘍は発熱時に悪化する傾向を認めた。以上より、発熱と結腸潰瘍の原因はRaoultella属による細菌感染症であったと考えた。【考察】検出されたR. planticola、R. ornithinolyticaは、以前はKlebsiella属に分類されていた莢膜を有するグラム陰性桿菌で、大量のヒスタミンを産生し、魚中毒の原因菌として知られているが、人への病原性に関する報告はまだ少ない。発熱や結腸潰瘍は著明であったにもかかわらず腹部症状に乏しかったことも含めて、非常に示唆に富む症例と考えられたため、報告する。 |
索引用語 | Raoultella属, 多発性結腸潰瘍 |