共同演者 |
永井 敬之(大分県厚生連鶴見病院消化器内科), 大河原 均(大分県厚生連鶴見病院消化器内科), 中嶋 宏(大分県厚生連鶴見病院消化器内科), 松成 修(大分大学医学部附属病院消化器内科), 小川 竜(大分大学医学部附属病院消化器内科), 織部 淳哉(大分大学医学部附属病院消化器内科), 水上 一弘(大分大学医学部附属病院消化器内科), 本田 浩一(大分大学医学部附属病院消化器内科), 沖本 忠義(大分大学医学部附属病院消化器内科), 兒玉 雅明(大分大学医学部附属病院消化器内科), 清家 正隆(大分大学医学部附属病院消化器内科), 村上 和成(大分大学医学部附属病院消化器内科) |
抄録 |
【はじめに】好酸球性大腸炎は頻度が低く、成人発症の好酸球性大腸炎の原因は解明されていない。治療はステロイドが中心となるが、ステロイド減量中の再燃も頻繁認められ、ステロイド依存性となる場合も多い。今回我々はステロイド依存性と非依存性の好酸球性大腸炎において各種バイオマーカーを比較検討した。【症例1:ステロイド非依存性】50歳男性。血性水様便から始まり、軽度の腹痛を伴う水様便(20行/day)が20日持続。入院時検査データは、白血球10,920/μl、好酸球2,926/μl、IgE 280U/ml、Eotaxin-1 379.8pg/ml、IL-5 22.1pg/mlであった。内視鏡検査、病理組織検査より好酸球性大腸炎と診断し、プレドニゾロン(30mg/day)を開始したところ、症状は著明に改善した。中止時のデータは、白血球7,420/μl、好酸球44.5/μl、IgE 356U/ml、Eotaxin-1 152pg/ml、IL-5 <3.9 pg/mlであった。【症例2 : ステロイド依存症例】67歳男性。約1か月の水様便(15行/day)と5kgの体重減少あり。入院時検査データは、白血球8,100/μl、好酸球350/μl、IgE 350U/ml、Eotaxin-1 490 pg/ml、IL-5 <3.9 pg/mlであった。内視鏡検査、病理組織検査より好酸球性大腸炎と診断。プレドニゾロン(30mg/day)を開始し徐々に減量したが、10mg/dayまで減量した時点で再燃を認め30mg/dayに増量した。その後、18か月後にプレドニゾロン中止としたが、1か月後再燃し再投与となった。再燃時のデータは、白血球7,520/μl、好酸球323/μl、IgE 540U/ml、Eotaxin-1 540pg/ml、IL-5 <3.9 pg/mlであった。【考察】ステロイド非依存性の症例では、ステロイド開始後Eotaxin-1はすみやかに低下し、ステロイド中止後も上昇は認めなかった。一方、ステロイド依存性の症例では、ステロイド開始後もEotaixin-1の値の低下は認められなかった。Eotaxin-1は好酸球性大腸炎において、ステロイド依存非依存の指標となる可能性が考えられた。 |