セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 123:内視鏡的膵管ステント留置とOctreotideが有効であった膵性腹水の一例 |
演者 | 橋元 悟(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター 肝臓内科) |
共同演者 | 成田 翔平(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター 肝臓内科), 釘山 有希(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター 肝臓内科), 宮副 由梨(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター 肝臓内科), 佐々木 龍(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター 肝臓内科), 戸次 鎮宗(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター 肝臓内科), 佐伯 哲(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター 肝臓内科), 長岡 進矢(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター 肝臓内科), 阿比留 正剛(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター 肝臓内科), 山崎 一美(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター 肝臓内科), 小森 敦正(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター 肝臓内科), 八橋 弘(国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター 肝臓内科) |
抄録 | 慢性膵炎は持続的な膵障害のために膵機能不全を生じる病態であるが、その合併症は多彩であり、その管理に難渋することをしばしば経験する。今回我々は、慢性膵炎を背景とした膵管腹腔瘻に起因する膵性腹水に対して内視鏡的膵管ステント留置および経静脈的Octreotideが有効であった症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 症例は59歳、男性。40年来のアルコール多飲歴があり、急性膵炎を過去に数回罹患していた。20XX年6月上旬前医でのフォローアップCTで大量腹水貯留を指摘され、同月中旬に精査加療目的に当科入院となった。腹部膨満感の自覚はあったが、腹痛や背部痛の自覚はなかった。血中膵アミラーゼ 1,445IU/l、腹水アミラーゼ 13,150IU/l、腹水総蛋白 3.56g/dlといずれも高値で腹水の性状は黄色混濁であった。MRCPで膵頭部膵管に狭窄、CTで多量腹水貯留・膵石灰化と膵体部膵管から腹腔内への膵液漏出と思われる瘻孔を認め、アルコール性慢性膵炎および膵性腹水と診断した。膵管狭窄は腫瘍性病変を否定し得なかったため、ERPを施行したところ、MRCPと同様に膵頭部膵管に狭小化を認めたが、狭窄部の擦過細胞診では悪性所見を認めなかった。また、CTでの膵液漏出部に一致して造影剤の膵管外への漏出を確認した。悪性所見を認めないことから慢性膵炎にともなう膵管狭窄と判断し、膵管ステントを留置した。さらに、経静脈的Octreotide 300μg/日持続静注・絶食・高カロリー輸液によって、腹水は徐々に減少した。Octreotideは31日間投与し、食事再開後に腹水の増悪はなく、8月上旬には血中膵アミラーゼ 83IU/l・腹水アミラーゼ 736IU/lと低下傾向であったため、入院52日目に退院とし外来管理とした。 膵性腹水の多くは慢性膵炎の合併症として発症し、膵管ドレナージ・Octreotide投与による保存的治療や膵切除・膵管腸管吻合といった外科的手術により治療されるが、本症例では保存的に改善し、QOLを低下させることなく良好な治療経過であった。 |
索引用語 | 膵性腹水, Octreotide |