セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専13:

胃癌リンパ節転移との鑑別に超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS-FNA)が有効であった胃壁外発育型胃粘膜下腫瘍の一例

演者 山口 将太(長崎県上五島病院)
共同演者 本田 徹郎(長崎県上五島病院), 川崎 寛子(長崎県上五島病院), 山川 大介(長崎県上五島病院), 松井 昴介(長崎県上五島病院), 井上 重宏(長崎県上五島病院), 岸川 孝之(長崎県上五島病院), 八坂 貴宏(長崎県上五島病院)
抄録 症例は75歳、男性。平成X年11月に早期胃癌に対して胃粘膜下層剥離術(ESD)を施行した。病理診断ではType 0-IIc、tub1、T1b2(SM2)(750μm)、ly(‐)、v(‐)、pHM0、pVM0であり追加切除の適応と判断したが本人の強い希望により画像検査による経過観察とする方針となった。平成X+1年12月の上部消化管内視鏡検査では再発所見を含め異常所見なく、腹部造影CTにおいても遠隔転移およびリンパ節転移の所見は認めなかった。平成X+2年12月の腹部造影CTにて胃に接するφ15mmの境界明瞭な腫瘤を認めた。腫瘤は造影効果を伴い、以前の腹部CTおいても腫瘤の存在を確認できたため壁外発育型のGISTなどが考えられたが、胃癌のリンパ節転移の可能性も否定できず診断目的にEUS-FNAを施行した。超音波内視鏡検査ではφ13.5mm×11.1mmの境界明瞭な腫瘤であり、内部エコーは低エコーで不均一であった。穿刺生検にて紡錘状~長楕円形核を有する境界不明瞭な抗酸性胞体の腫瘍細胞の増生を認め、GIMT/GISTとして矛盾しない所見であり、胃癌のリンパ節転移を否定することができた。また、粘膜下腫瘍については腫瘍サイズが2cm以下で分裂像も確認できなかったためLow grade相当と考え、GIST診断ガイドラインに従い低リスクと判断し経過観察の方針とした。本症例はEUS-FNAを用いて胃癌リンパ節転移を否定することができ、不要な化学療法を回避することができた。臨床的にEUS-FNAの有用性を示すことができた症例であったと考える。
索引用語 EUS-FNA, 粘膜下腫瘍