セッション情報 一般演題

タイトル 096:

腹壁に波及し、胆嚢癌と鑑別困難であった黄色肉芽腫性胆嚢炎の一例

演者 渡名喜 銀河(熊本赤十字病院)
共同演者 北田 英貴(熊本赤十字病院), 池邊 賢一(熊本赤十字病院), 瀧川 有記子(熊本赤十字病院), 岩崎 肇(熊本赤十字病院), 浦田 孝広(熊本赤十字病院), 南 信弘(熊本赤十字病院), 吉岡 律子(熊本赤十字病院), 竹熊 与志(熊本赤十字病院), 一二三 倫郎(熊本赤十字病院)
抄録 症例は84歳、男性。右季肋部痛と弛張熱を主訴に当科を受診された。右季肋部に圧痛を認め、同部の皮膚に発赤を認めた。エコー検査とCT検査で胆嚢は著明に腫大し、腫瘤を形成していた。内部には結石や嚢胞成分を有し、腫瘤は肝実質及び腹壁にも連続し、炎症の波及を認めた。黄色肉芽腫性胆嚢炎を疑ったが、胆嚢癌との鑑別が必要と考えた。組織学的診断を得るため、内視鏡的逆行性膵胆管造影検査を行ったが、胆嚢は造影されず、胆嚢壁の擦過細胞診は施行できなかった。エコーガイド下で胆嚢より連続する腹壁の腫瘤から針生検を施行した。病理組織では腫瘍性増殖は認めず、肉芽組織であった。数日後、腹壁の腫瘤は発赤・腫脹が増悪し、皮下膿瘍を形成したため、切開排膿した。膿汁内にビリルビンの小結石を認め、胆嚢内腔と腹壁との交通が疑われた。黄色肉芽腫性胆嚢炎が腹壁に進展し、交通したものと考え、胆嚢摘除術を施行した。組織学的に悪性所見を認めないことから、リンパ節郭清などを含めた拡大手術は行わなかった。摘出した胆嚢は著明な壁肥厚を認め、組織学的には黄色肉芽腫性胆嚢炎と診断された。腹壁の腫瘤は炎症波及による肉芽組織と考えた。黄色肉芽腫性胆嚢炎は胆嚢壁に肉芽腫を形成し、周囲臓器へ浸潤性に炎症波及を示すため、胆嚢癌との鑑別が困難なことが多い。今回我々は、腹壁に進展し、胆嚢癌と鑑別困難であった黄色肉芽腫性胆嚢炎の一例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
索引用語 黄色肉芽腫性胆嚢炎, 炎症波及