セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研14:

術前画像診断を行い一期的に根治手術を行った胆石イレウスの1例

演者 明利 聡瑠(宮崎大学医学部附属病院 循環呼吸・総合外科学講座)
共同演者 河野 文彰(宮崎大学医学部附属病院 循環呼吸・総合外科学講座), 仙波 速見(宮崎大学医学部附属病院 循環呼吸・総合外科学講座), 水野 隆之(宮崎大学医学部附属病院 循環呼吸・総合外科学講座), 中尾 大伸(宮崎大学医学部附属病院 循環呼吸・総合外科学講座), 冨田 雅樹(宮崎大学医学部附属病院 循環呼吸・総合外科学講座), 長濱 博幸(宮崎大学医学部附属病院 循環呼吸・総合外科学講座), 中村 都英(宮崎大学医学部附属病院 循環呼吸・総合外科学講座)
抄録 【はじめに】胆石イレウスは胆石が胆管や瘻孔を介して消化管内に逸脱し、腸管に嵌頓してイレウスを発症する比較的稀な疾患である。【症例】75歳女性、激しい腹痛を主訴に当院救急部へ緊急搬送された。腹部膨満を認め、腹部CT検査で腸管の著明な拡張を認め、イレウス状態と判断した。また、腸管拡張の先端部に高吸収域があり、結石が疑われ、口側腸管内にも複数の結石を認めていた。胆嚢は壁肥厚した十二指腸と近接しており、胆嚢内及び肝内胆管にairを認めたため、胆嚢十二指腸の瘻孔を介した落下胆石によるイレウスと考えられた。手術では、小腸を切開して嵌頓胆石を摘出し、イレウスを解除した。その後、胆嚢周囲を観察すると、胆嚢と上十二指腸角が強固に癒着しており、瘻孔部分と考えられた。Kocher授動した後、胆嚢を肝床部から剥離し、胆嚢を切開して胆嚢内から瘻孔部分が確認できた。瘻孔閉鎖を行い、大網被覆を行い手術終了した。術後8日目に腹壁離開があり、緊急閉腹術を行った以外は問題なく、術後46日目に退院した。【考察】胆石イレウスの術前診断率はあまり高くなく、その理由として結石のX線陽性率が低いことが挙げられる。本症の根治のためには胆嚢摘出術・瘻孔閉鎖術は必須であるが、胆嚢・十二指腸に高度な炎症を伴うため手術には難渋する。術前診断が困難な場合や全身状態によっては、イレウス解除術だけに終わることも多い。本症例はX線陽性結石であったため術前診断は容易であり、イレウス解除術・胆嚢摘出術・十二指腸胆嚢瘻孔閉鎖術を一期的に行うことができた。【結語】術前画像診断が可能で一期的に手術を行うことができた胆石イレウス症の1例を経験したので文献的考察を含めて報告する。
索引用語 イレウス, 胆石