セッション情報 ワークショップ3「進行肝細胞癌診療の現状と問題点」

タイトル WS3-01:

多科診療サーベイランスに基づいた進行肝癌の特徴と予後についての検討

演者 田浦 直太(長崎大学病院 消化器内科)
共同演者 阿保 貴章(長崎大学病院 腫瘍外科), 市川 辰樹(長崎大学病院 消化器内科), 坂本 一郎(長崎大学病院 放射線科), 高槻 光寿(長崎大学病院 移植消化器外科), 七島 篤志(長崎大学病院 腫瘍外科), 林 秀行(長崎大学病院 放射線科), 日高 匡章(長崎大学病院 移植消化器外科), 江口  晋(長崎大学病院 移植消化器外科), 中尾 一彦(長崎大学病院 消化器内科)
抄録 【目的】肝癌症例の高齢化、非B非C肝癌症例の増加に伴い、初発進行肝癌の症例が散見される。進行肝癌に対する治療は、外科的技術、放射線治療の進歩やソラフェニブの登場により、予後の改善が期待されるも、その効果は明らかでない。本研究では、進行肝癌の特徴を明らかにし、予後との関連について検討を行った。【対象】1999年より2012年までの期間、多科診療サーベイランスを基に肝癌と診断された463例を対象とした。診断時画像検査を元に肝外臓器への転移もしくは脈管浸潤を伴う病変を進行肝癌71例、非進行肝癌392例に分類し検討を行った。【結果】肝癌症例における進行肝癌に寄与する因子をロジスティック回帰分析による多変量解析を行ったところ、hepatitis virus (HBV; p=0.012 HR2.75)、Child-Pugh score (=>7; p=0.009 HR2.44)、AST (=>54IU/l: p=0.002 HR3.67)、血小板数 (<12万/μl: p=<0.001 HR0.20)であった。さらに、ロジスティック回帰分析で有意であった因子を進行肝癌と非進行肝癌と比較すると、進行肝癌では、HBV関連肝癌では、35%であったのに対し、非進行肝癌では、16%、Child-Pugh scoreが6点であったのに対し5点、ASTは、79IU/lであったのに対し49IU/l、血小板数は、16.9万/μl、であったのに対し11.4万/μlであった。さらに、Cox回帰分析で多変量解析による予後に寄与する因子を検討したところ、PT (<80; p=0.029 HR2.22)、AFP (=>200ng/ml: p=0.002 HR3.67)、治療 (手術: p=<0.001 HR0.20、化学療法;p=0.037 HR0.32、TACE/TAI; p=0.011 HR0.25)であった。また、治療別に予後を検討したところ手術症例の5年生存率は、51%であったのに対し、全身化学療では0%、TACE・TAIでは11%と手術症例の予後は有意に良好であった。【結論】進行肝癌症例の特徴は、B型関連肝癌、肝予備能が不良、AST及び血小板数が高値な症例であった。また、進行肝癌の予後は不良ながら、外科治療が可能な肝予備能および腫瘍条件のものは治療成績が期待され、外科治療の可否を考慮する必要がある。
索引用語 進行肝癌, 治療法