セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研59:

魚骨穿刺による肝膿瘍の一例

演者 大津 可絵(くまもと森都総合病院)
共同演者 原岡 克樹(くまもと森都総合病院), 束野 奈津己(くまもと森都総合病院), 大内田 義宏(くまもと森都総合病院), 宮瀬 志保(くまもと森都総合病院), 藤山 重俊(くまもと森都総合病院), 山中 剛(くまもと森都総合病院)
抄録 【症例】68歳女性。【現病歴】普段からよく魚を食べる習慣があった。H22年10月に咽頭痛を伴う38℃台の発熱が出現。市販薬で軽快しないため、3日後に近医耳鼻咽喉科受診(CRP:34.0mg/dL)。抗生剤処方され解熱したが、白血球上昇・炎症反応高値が持続するため、当院血液内科へ紹介受診となった。全身検索目的で行われた腹部超音波検査にて、肝左葉に巨大腫瘤様陰影を認めたため、肝腫瘍が疑われ当科へ紹介となった。【検査成績】身体所見で、肝を正中に3横指触知した。血液検査ではAlb:2.8g/dL、AST:27U/L、ALT:67U/L、γGTP:155U/L、LDH:413U/L、ChE:166U/L、BUN:12.6mg/dL、Cr:0.7mg/dL、CRP:5.55mg/dL、SAA:190.6μg/mL、WBC:16100/μL (Neut:92%、Ly:4.0%)、PT:95.6%、APTT:129.7%、FDP:39.7μg/mL、D-dimer:17.3μg/mLであった。CTでは肝左葉外側区にφ8.6cmの隔壁を伴う腫瘤像を認め、内部には多数のnecrotic ariaが存在し、abscessが疑われた。一方で、肝腫瘤の内部から胃壁まで長さ約3cmの異物が認められ、異物の穿通が疑われた。【経過】緊急上部消化管内視鏡施行したが、明らかな異物刺入所見は認められなかった。同日、緊急腹腔鏡下異物除去術が施行された。術中、肝外側区域は大きく腫大し胃小彎側と癒着しており、膿苔付着を認めた。また胃前庭部と肝は強固に癒着し、同部に硬い異物を確認し、その異物を肝および胃から抜去した。抜去された異物は、長さ2.6cmの魚骨であった。術後は、抗生剤は使用せず、術後3日目より食事開始、術後7日目のCTでは明らかな膿瘍形成なく、肝膿瘍縮小傾向であり、術後11日目には退院となった。【結語】魚骨が胃から肝臓へ穿通した稀な症例を経験したため、若干の文献的な考察を加えて報告する。
索引用語 魚骨, 肝膿瘍