セッション情報 一般演題

タイトル 010:

出血を契機に発見された原発性胃形質細胞腫の1例

演者 古澤 敬子(中津市立中津市民病院 外科)
共同演者 上原 英雄(中津市立中津市民病院 外科), 岸原 文明(中津市立中津市民病院 外科), 岡田 敏子(中津市立中津市民病院 外科), 廣石 和章(中津市立中津市民病院 外科), 藤井 及三(中津市立中津市民病院 病理診断科), 大場 太郎(中津市立中津市民病院 外科), 福山 康朗(中津市立中津市民病院 外科), 山本 一郎(中津市立中津市民病院 病理診断科), 池田 正仁(中津市立中津市民病院 外科)
抄録 症例は75歳、男性。1週間前より黒色便が出現し、貧血の精査加療目的に当科紹介となった。上部消化管内視鏡検査にて、胃穹窿部に約7cm大の2型隆起性病変を認めた。肉眼形態は胃悪性リンパ腫に類似していたが、確定診断は得られなかった。出血による高度の貧血を呈していたため、輸血を施行した後に噴門側胃切除術を施行した。病理組織学的検査では、Dutcher小体やRussell小体を有し核異型を伴った形質細胞が胃全層にわたり腫瘍性に増殖し、免疫組織化学検査では、免疫グロブリンはIgA/κ型単クローン性を示していた。以上の所見より形質細胞腫と診断した。術後に行った免疫固定電気泳動で明らかなM蛋白、Bence-Jones蛋白は陰性であり、骨髄穿刺でも骨髄中に形質細胞の増加を認めなかった。形質細胞腫はB細胞の最終段階である形質細胞に由来する腫瘍で、骨髄に原発する多発性骨髄腫、孤立性骨髄腫、形質細胞性白血病と骨髄以外に原発する髄外性形質細胞腫に分類される。髄外性形質細胞腫の多くは上気道、口腔、咽頭に発生し、消化管での発症は比較的稀と言われる。また、胃形質細胞腫は肉眼的に胃悪性リンパ腫や進行性胃癌に類似するが、生検で腫瘍細胞が検出されず診断に難渋することも多い。本症例は、出血を契機に発見され外科的胃切除により診断し得た原発性胃形質細胞腫の1例であり、文献的考察を加え報告する。
索引用語 胃形質細胞腫, 出血性胃潰瘍