セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研15:

診断に苦慮した回腸癌の一例

演者 佐久間 努(製鉄記念八幡病院 臨床研修部)
共同演者 佐久間 努(製鉄記念八幡病院 臨床研修部), 清森 亮祐(製鉄記念八幡病院 消化器内科), 浦岡 尚平(製鉄記念八幡病院 消化器内科), 中村 滋郎(製鉄記念八幡病院 消化器内科), 池部 正彦(製鉄記念八幡病院 外科), 下釜 達朗(製鉄記念八幡病院 病理診断科), 江崎 幹宏(九州大学大学院病体機能内科学)
抄録 症例は50歳代、男性。2012年8月に嘔吐・食欲不振を主訴に近医を受診。上下部消化管内視鏡にて異常所見を認めず、内服加療を行うも症状は改善しなかった。体重は4ヶ月で約7kg減少し、腹部エコーにて腸管拡張、血液検査でCA19-9の軽度上昇を認めたため12月に当科紹介入院となった。腹部単純CTにて空腸の拡張を認めた。絶食のみで症状は軽快し、食事開始後も症状の再燃が見られなかったため経口小腸造影を施行したが、明らかな狭窄は認められなかった。その後も症状の再燃なく、いったん退院となった。2013年4月に再び症状が増悪したため当科受診、腹部X線にて鏡面像を認めたため再入院となった。イレウス管を挿入し絶食・輸液にて症状は改善したが、イレウス管からの造影にて上部回腸にくちばし状の狭窄を確認した。腹部造影CTでは同部位に3.5cm大の腫瘤性病変を認めたため、外科に転科し回腸部分切除術を施行した。切除標本の病理診断は原発性回腸癌(高分化型腺癌)、深達度SEであった。経口小腸造影では大きな病変であっても、検者の未熟さや腸管の重なりなどの悪条件が原因となり見落とされることがある。造影の際は用手圧迫などで小腸索の重なりを極力なくし、丹念に検索することが必要であると反省させられた症例であった。原発性小腸癌につき若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 イレウス, 小腸癌