セッション情報 ワークショップ3「進行肝細胞癌診療の現状と問題点」

タイトル WS3-07:

門脈腫瘍塞栓(VP4)を伴う肝細胞癌に対する放射線併用動注化学療法の経験

演者 杉本 理恵(九州がんセンター消化器肝胆膵内科)
共同演者 荒武 良総(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 田尻 博敬(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 大野 隆真(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 寺松 克人(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 久野 晃聖(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 古川 正幸(九州がんセンター消化器肝胆膵内科)
抄録 【目的】門脈本幹腫瘍塞栓(VP4)は肝細胞癌症例における最大の予後不良因子である。肝動注化学療法はそのような症例に対しても有効であるとされているが、その効果には限界がある。一方、放射線照射の門脈腫瘍塞栓に対する有効性が報告されており、定位放射線照射など放射線治療技術の進歩により今後の適応拡大が期待されている。今回我々は門脈本幹の腫瘍塞栓(VP4)を伴う肝細胞癌の治療成績の向上を目指して、放射線療法を併用した肝動注化学療法を行った症例についてその効果や副作用、生存期間を検討し、あわせて同時期に肝動注化学療法を単独で行った症例についても検討した。【症例】2005年から2012年に門脈本幹が腫瘍塞栓にて閉塞したstageIVa肝細胞癌で肝動注化学療法及び腫瘍塞栓に対する放射線治療を行った7症例、及び肝動注化学療法のみを行った5症例【結果】生存期間中央値;併用群;176.5日、単独群;106日。奏功率(CR;PR;SD;PD)併用群;28%(1,1,3,2)、単独群;20%(1,0,3,1)。有害事象;併用群;grade3の血小板減少1例,grade3の全身倦怠感1例,単独治療群;grade3の感染1例【結論】門脈本幹に腫瘍塞栓がある肝細胞癌は元来予後不良と言われているが、予備能が保たれており全身状態も良好な症例においては最長677日と比較的長期の生存を認める症例もあり、試みるべき治療法と考える。しかし、放射線治療を併用した群で重篤な有害事象が多い印象があり、その適応は慎重に判断する必要があると考える。
索引用語 肝癌, 治療