セッション情報 ワークショップ4「炎症性腸疾患 最近の治療」

タイトル WS4-12:

当科におけるクローン病に対する外科手術症例の検討と手縫い側々吻合再建の短期成績

演者 竹下 浩明(長崎大学腫瘍外科)
共同演者 澤井 照光(長崎大学医学部保健学科), 黨 和夫(長崎大学腫瘍外科), 荒井 淳一(長崎大学腫瘍外科), 高木 克典(長崎大学腫瘍外科), 國崎 真己(長崎大学腫瘍外科), 阿保 貴章(長崎大学腫瘍外科), 日高 重和(長崎大学腫瘍外科), 七島 篤志(長崎大学腫瘍外科), 安武 亨(長崎大学腫瘍外科), 永安 武(長崎大学腫瘍外科)
抄録 【はじめに】クローン病の外科治療では、腹腔鏡下手術による低侵襲手術、吻合法の変化がみられる。吻合部の狭窄が高頻度にみられることから、従来の端々吻合に代わって側々吻合や新しい吻合法が提唱されている。過去5年の当科でのクローン病手術症例を検討し、2013.1から開始した側々吻合およびKono-S吻合法における短期成績を検討。【対象】2008.1~2013.7に当科でクローン病に対して腸管の外科治療を行った症例は43例。【方法】手術術式,手術契機、過去の手術回数と前回手術後年数、アプローチ法(開腹、腹腔鏡)、再建法(ストマ、吻合(端々、側々、Kono-S吻合)・方法(手縫・機械吻合))、短期成績(手術時間,出血量,術後合併症(吻合部に起因したもの))などについてレトロスペクティブに検討。【結果】平均年齢は40.8歳、男性36例、女性7例。手術部位は小腸のみが6例、小腸大腸が32例、大腸のみが5例。手術回数は、初回が15例、2回目が15例、3回目以上が13例。手術の直接契機/併存病態は、狭窄が20例/17例、前回吻合部狭窄2例/15例、膿瘍10例/6例、瘻孔7例/11例、癌化2例/0例、腹膜炎1例/2例、その他が1例/0例だった。直近の手術から5年以内に手術となった症例が10例みられた。開腹手術が38例、腹腔鏡手術が5例(うち1例は通常開腹へ移行)。再建はストマが10例、端々吻合が28例、側々吻合が4例、Kono-S吻合が1例で全例手縫い吻合だった。短期成績では、吻合部に起因した合併症が3例にみられ、いずれも端々吻合例で瘻孔・膿瘍形成例であり、側々吻合やKono-S吻合に起因した合併症はなかった。【考察】前回吻合部狭窄が直接原因のものは2例のみだったが、全体では前回吻合部の狭窄を伴っていたのは15例にみられ、クローン病では吻合部の口側に病変が生じやすいことを考えると吻合部の狭窄が影響していた可能性はある。側々吻合やKono-S吻合では吻合口が大きく、再手術率が端々吻合よりも有意に低いと報告されている。当科の症例でも5例ではあるが短期合併症は発生しておらず、今後、第一選択となりうる。
索引用語 クローン病, 吻合法