セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専03:

食道原発神経内分泌癌で気道狭窄をきたし、化学療法により窒息を回避できた一例

演者 峯 彩子(長崎大学病院消化器内科8)
共同演者 橋口 慶一(長崎大学病院消化器内科8), 内田 信二郎(長崎大学病院消化器内科8), 本田 琢也(長崎大学病院消化器内科8), 塩澤 健(長崎大学病院消化器内科8), 柴田 英貴(長崎大学病院消化器内科8), 三馬 聡(長崎大学病院消化器内科8), 田浦 直太(長崎大学病院消化器内科8), 大仁田 賢(長崎大学病院消化器内科8), 市川 辰樹(長崎大学病院消化器内科8), 磯本 一(長崎大学病院消化器内科8), 竹島 史直(長崎大学病院消化器内科8), 加島 志郎(長崎大学病院消化器内科8), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科8)
抄録 背景:神経内分泌癌(NEC)は悪性度の高い腫瘍であり、進行が早く予後不良とされている。今回我々は食道原発の神経内分泌癌により、気道狭窄症状を来し、化学療法導入後に速やかに症状改善を認めた一例を経験したため報告する。症例:78才、男性、既往歴:左小脳梗塞・アルツハイマー病・第6頸椎棘突起骨折・胃潰瘍、生活歴:機会飲酒、喫煙30本/日、現病歴:平成25年3月下旬よりふらつきを認め、近医を受診した。上部消化管内視鏡検査を施行され、切歯から上部食道に不整な隆起性病変を認めた。生検にて未分化癌と診断され、当院紹介入院となった。経過:当院での上部消化管内視鏡検査で、門歯より20~2cmに約半周を占める潰瘍性病変を認め、周囲の隆起や辺縁は不整で、2型進行食道癌の所見であった。生検施行し、小細胞癌の診断であった。また精査で肝両葉に多発腫瘤、両側肺野に多発小結節、多数の骨病変(斜台、椎体、肋骨、右鎖骨、骨盤骨)を認め、切除不能・遠隔転移を伴う食道原発NECと診断した。来院時より原発腫瘍や腫大リンパ節による気道狭窄を認め、間もなく気道狭窄音を聴取し、労作時の胸苦しさや嚥下困難等の自覚症状が増悪したため化学療法を速やかに開始した。肺小細胞癌のレジメンに準じ、また腎機能の軽度低下もみとめ、carboplatin+etoposide併用療法を選択した(CBDCA:AUC4 day1, ETP80mg/m2 day1-3)。化学療法導入後より徐々に自覚症状は改善し、狭窄音の消失、嚥下困難の改善を得た。Grade3の好中球減少をみとめたものの発熱なく、他に問題となる有害事象はみとめなかった。結語:食道原発の神経内分泌癌(NEC)により気道狭窄をおこしていた症例に対し、化学療法を開始したことで速やかに症状緩和し得た症例を経験した。進行の速い症例においては速やかな化学療法の導入が重要であると考えられた。
索引用語 神経内分泌腫瘍, 食道原発