セッション情報 一般演題

タイトル 041:

空腸間膜内リンパ節転移を認めた残胃癌の1例

演者 古橋 聡(済生会熊本病院)
共同演者 問端 輔(済生会熊本病院), 小川 克大(済生会熊本病院), 岩槻 政晃(済生会熊本病院), 田中  秀幸(済生会熊本病院), 杉山 眞一(済生会熊本病院), 井上 耕太郎(済生会熊本病院), 緒方 健一(済生会熊本病院), 土居 浩一(済生会熊本病院), 村岡 正武(済生会熊本病院消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院消化器病センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院中央検査部), 高森 啓史(済生会熊本病院)
抄録 【はじめに】残胃癌は、Billroth2法再建後では吻合部の発生率が高いことが報告されている。今回、術前画像上、残胃癌および小腸GISTと診断し、術後病理にて残胃癌からの空腸間膜内リンパ節転移であった症例を経験したので報告する。【症例】81歳、男性。【既往歴】27歳時に十二指腸潰瘍の診断で幽門側胃切除術。【現病歴】全身倦怠感を自覚し近医を受診し、血液検査上貧血を認めた。【検査所見】上部消化管内視鏡検査にてBillroth2法再建術後の残胃吻合部前壁に2型の腫瘍性病変を認め、生検にて残胃癌(腺癌tub2)の診断を得た。腹部超音波検査および腹部CT検査では、膵体部腹側の空腸近傍に径約5cmの造影効果を有する嚢胞性領域を伴う腫瘤を認めた。小腸透視では、空腸を壁外性に圧排する所見を認めた。以上の所見より、残胃癌および小腸GISTの術前診断とした。【手術所見】術前画像上同定された空腸近傍の腫瘤は、挙上空腸の輸入脚側の腸間膜内に存在し、境界は明瞭であった。残胃全摘術および空腸間膜内腫瘍切除を実施した。【術後病理診断】残胃癌は、漿膜下層への浸潤を認めたが、no.1, 3, 4, 8a, 9, 11リンパ節への転移は認めなかった。空腸間膜内腫瘍はリンパ節転移であり、同腫瘍周囲にもリンパ節転移を2個認めた。尚、胃壁内のリンパ管侵襲は高度であった。【考察】空腸近傍の病変は、径約5cmで、残胃癌発生部位からの距離もあり、小腸GISTの画像所見として矛盾せず、術前診断として小腸GISTを考えた。本症例は、幽門側胃切除+Billroth2法再建後残胃癌であり、領域リンパ節には転移を認めなかったが、空腸間膜リンパ節に転移を認めた。残胃癌では、通常とは異なるリンパの流れが構築される可能性も考えられた。【結語】空腸間膜内リンパ節転移を認めた残胃癌1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 残胃癌, リンパ節転移