セッション情報 | シンポジウム1「高齢者に対する消化器病診療と今後の展望(消化管、肝胆膵)」 |
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タイトル | S1-07:当科における高齢潰瘍性大腸炎入院患者の特徴 |
演者 | 芦塚 伸也(宮崎大学第一内科) |
共同演者 | 三宮 一朗(宮崎大学第一内科), 三木 吾郎(宮崎大学第一内科), 増田 稔(宮崎大学第一内科), 星子 新理(宮崎大学第一内科), 松本 英丈(宮崎大学第一内科), 中島 孝治(宮崎大学第一内科), 稲津 東彦(宮崎大学第一内科), 北村 和雄(宮崎大学第一内科) |
抄録 | 背景:炎症性腸疾患(IBD)は一般的に若年者に多い疾患であるが、近年、特に潰瘍性大腸炎(UC)患者において高齢者の増加が認められる。高齢患者は高血圧や糖尿病、心疾患などの基礎疾患を有する場合が多く、ステロイドや免疫抑制薬などの薬物療法や手術に伴う合併症も少なからず経験する。 目的:高齢UC患者と若年患者の臨床的特徴を比較し、高齢UC患者の診療における注意点を検討する。 方法:調査期間:2002年8月から2013年8月、対象:当科で入院加療を行ったUC患者131名(203回)のうち、UC治療目的で入院となった121名。高齢者(65歳以上(E群))、若年者(65歳未満(J群))に群別し、1.臨床診断、2.基礎疾患、3.治療合併症を検討した。 結果:n=121、年齢中央値 45歳(13-83歳)、男性65名(53.7%)、女性56名(46.3%)、病悩期間 7.57±7.7年、E群:23名(M13、F10)、J群 98名(M52、F46) 1.臨床診断 罹患範囲:E群(全大腸型45.5%、左側型50%、直腸型 4.5%)、J群(全大腸型73.9%、左側型 25%、直腸型 1.1%)、E群はJ群に比し有意に左側~直腸型が多かった。重症度:両群とも中等症が多く(E群59.1%、J群 51.1%)有意差はなかった。 2.基礎疾患:ありE群87.0%、J群 30.6%(p<0.0001)、E群において高血圧(39.1%)、耐糖能異常(21.7%)、心疾患(30.1%)が多く認められた。 3.治療合併症:E群 77.2%、J群 51%に認められ、重症感染症がE群14.3%、J群 3.2%に認められた(p=0.028)。E群のうち3名(10.7%)が誤嚥性肺炎および感染性心内膜炎、真菌血症、ニューモシスチス肺炎にて死亡した。また、2名は術後合併症であった。 考案: 今回の検討では、高齢UC患者の特徴として、1.左側結腸~直腸型、2.基礎疾患を有する患者、3.重症感染症の合併が多かった。死亡例も認められ、高齢UC患者に対してはより慎重な治療戦略、周術期管理が必要と考えられた。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, 高齢者 |