セッション情報 |
研修医発表(卒後2年迄)
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タイトル |
研45:自己免疫性肝炎との鑑別が困難であり、アザチオプリン投与により増悪を認めた、抗ミトコンドリア抗体陰性原発性胆汁性肝硬変の1例
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演者 |
江口 藍(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科) |
共同演者 |
宮副 由梨(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 小森 敦正(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター), 成田 翔平(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 釘山 有希(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 佐々木 龍(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 戸次 鎮宗(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 橋元 悟(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 佐伯 哲(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 長岡 進矢(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター), 阿比留 正剛(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター), 山崎 一美(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター), 黒濱 大和(国立病院機構長崎医療センター臨床検査科), 伊東 正博(国立病院機構長崎医療センター臨床検査科), 猪口 薫(日本赤十字社長崎原爆諌早病院消化器科), 河合 紀生子(長崎県健康事業団病理部), 八橋 弘(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター) |
抄録 |
症例は65歳、女性。骨粗鬆症の既往歴あり。20XX年1月全身倦怠感あり前医を受診した。T.bil. 1.5 mg/dl, AST 85 IU/l, ALT 77 IU/l, ALP 1862 IU/l, G-GTP 455 IU/l, PT 105 %, IgG 2018 mg/dl, ANA1280倍, AMA陰性, 肝炎ウイルスマーカー陰性であり、上部消化管内視鏡検査では食道静脈瘤を認めた。ウルソデオキシコール酸(UDCA)600mg/dayの投与が開始されたが肝機能の改善なく、同年2月14日に肝生検が施行された。門脈域の拡大とpiecemeal necrosisを伴うリンパ球主体の炎症細胞浸潤を認め、Revised international AIH study group によるスコアリングは14点となり、自己免疫性肝炎合併(AIH)と診断した。同年2月20日PSL 30mg/dayが追加されたが肝酵素の低下なく、PSL開始1週後よりアザチオプリン(AZA)100mg/dayの併用を開始した。その後も肝機能は改善せず、同年3月19日精査加療目的に当科紹介入院となった。入院時血液検査ではT.bil.4.9 mg/dl, AST 97 IU/l, ALT 144 IU/l, ALP 1344 IU/l, G-GTP 608 IU/l, IgG 1340 mg/dl ,PT 67.5 %であり、腹部CTでは胆管拡張所見を認めなかった。肝生検を再度施行したところ、門脈域周囲への銅結合蛋白の広範な沈着を伴う小葉間胆管の消失に加えて、小葉内には高度の胆汁うっ滞が明らかであった。臨床経過よりAZAによって増悪したAMA陰性原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断し、AZAを減量その後中止としたところ、肝酵素及び黄疸の改善がみられた。併せてPSLも漸減、UDCAは600mg/dayを継続し経過観察中である。本症例は、胆管消失が著明なAMA陰性進行PBCに、薬物性胆汁うっ滞が合併したことで、診断に難渋したと考えられた。PBCにおけるAIH合併の診断、および免疫抑制剤の適応など、若干の文献的考察も加え報告する。 |
索引用語 |
抗ミトコンドリア抗体陰性原発性胆汁性肝硬変, 薬物性胆汁うっ滞 |