セッション情報 一般演題

タイトル 004:

静脈瘤を合併した食道表在癌に対するESDの一例

演者 前田 英仁(鹿児島逓信病院消化器内科)
共同演者 大西 容雅(鹿児島逓信病院肝臓内科), 桜井 一宏(鹿児島逓信病院肝臓内科), 堀 剛(鹿児島逓信病院肝臓内科), 橋元 慎一(鹿児島大学病院消化器内科), 船川 慶太(鹿児島大学病院消化器内科), 井戸 章雄(鹿児島大学病院消化器内科)
抄録 [はじめに]内視鏡治療歴のある食道静脈瘤患者における、静脈瘤上の食道表在癌に対して、内視鏡的切除を行うことは、出血や強い線維化のため非常に難易度が高いことが予想される。しかし、治療前にEVLで静脈瘤を縮小させ、ESDで静脈瘤を露出して予防的に止血処置を行い、丁寧に切開剥離を行うことで、出血を予防し、一括切除が可能であった一例を経験したので報告する。[症例]61歳男性。アルコール性肝硬変で、肝予備能はChild-Pughスコア7点(gradeB)、血小板3.3×104/μl、PT 47%と凝固能の低下を認めた。食道静脈瘤破綻による吐血に対してEVLを施行され、その後追加のEVLが施行された既往がある。病変は、下部食道右壁の15mm大の0-IIc型SCCで、F1静脈瘤の上に存在した。EUSでは病変の直下に2本の静脈瘤を認めた。ESD1ヶ月前に、病変から肛門側へ約2cm離して1か所EVL施行した。ESD時には、EVLによって静脈瘤はある程度退縮はしているものの、消失はしていなかった。Hook Knifeを使用し、肛門側の静脈瘤を露出させ、止血鉗子にて把持し、soft凝固にてprecoagulationし、Hook Knifeにて切断した。剥離の際に穿通枝を認めたが、こちらも止血鉗子にて処理した。線維化が強く、剥離に難渋したが、丁寧に剥離することで、偶発症なく切除時間94分で一括切除可能であった。[考察]静脈瘤合併食道癌に対しても、事前に戦略を検討し、周到に準備を行うことで、偶発症なくESDを行うことが可能であると考えられる。
索引用語 静脈瘤, ESD