セッション情報 |
研修医発表(卒後2年迄)
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タイトル |
研02:逆流防止弁付き食道ステント留置後にステントの脱落・閉塞と誤嚥性肺炎を来した超高齢者進行食道癌の1例
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演者 |
南曲 康多(鹿屋医療センター) |
共同演者 |
久保 昌亮(鹿屋医療センター), 田辺 寛(鹿屋医療センター), 小園 勉(鹿屋医療センター), 新山 新(鹿屋医療センター) |
抄録 |
高齢化率30%を超える大隅医療圏の中核病院である当院では、後期高齢者進行癌患者に対し、全身状態・合併症・QOLを考慮し、積極的な治療は行わずbest supportive careのスタンスで治療を行う機会も多い。今回、一般外科研修期間中に超高齢者進行食道癌に逆流防止弁付き食道ステントを留置し、ステントの脱落・閉塞と誤嚥性肺炎を来した症例を経験したので報告する。症例は86歳の男性。本年4月、血性嘔吐とショックで近医に救急搬送され、上部消化管内視鏡検査で胸部食道癌からの出血を認め当院紹介となった。精査の結果、門歯列より28cmの胸部食道から長径7cmで胃に浸潤するType3の食道癌で、T3N0M0のstage2と診断した。高齢、高血圧・糖尿病の合併などから、10cmの逆流防止弁付き食道ステントを留置し、best supportive careの方針となった。ステント留置後は、食事摂取良好で自覚症状もなく経過していたが、本年6月ごろから嚥下困難が、8月には嘔吐が出現。CTでステントの胃内脱落を確認した。まず再度同型食道ステントを留置。二期的に脱落ステント除去の方針として、後日胃内ステントに留置スネアを複数かけ細径化を試みた。しかし食道ステントの逆止弁を介してairが口側へ漏れ、胃の膨らみ不良から視野の確保が困難となり、複数回の内視鏡操作を要した。また待機中に嘔吐を繰り返し、誤嚥性肺炎を併発。原因は食残による食道ステント閉塞で、内視鏡下に鉗子で食残を除去した。肺炎は、絶食・抗生剤投与で幸い程なく軽快した。 本症例を通じて、高齢者進行癌に対する治療方針決定までの考え方、QOL改善を目的としたステント留置の手技・合併症とその対処法、高齢者への疾患・治療法の説明や理解の重要性、内視鏡下治療の周術期管理など、様々なことを学び、考える機会を得ることができた。 |
索引用語 |
超高齢者進行食道癌, 逆流防止弁付き食道ステント |