セッション情報 一般演題

タイトル 099:

IgG4関連硬化性胆管炎の治療経過中に多重癌を合併した1例

演者 下川 雄三(済生会福岡総合病院 内科)
共同演者 田中 琢磨(済生会福岡総合病院 内科), 立花 雄一(済生会福岡総合病院 内科), 明石 哲郎(済生会福岡総合病院 内科), 西原 佑一郎(済生会福岡総合病院 内科), 荒殿 ちほ子(済生会福岡総合病院 内科), 池田 浩子(済生会福岡総合病院 内科), 富田 洋介(済生会福岡総合病院 内科), 水谷 孝弘(済生会福岡総合病院 内科), 吉村 大輔(済生会福岡総合病院 内科), 落合 利彰(済生会福岡総合病院 内科)
抄録 IgG4関連疾患(IgG4-RD)は血中IgG4高値と全身臓器の線維化、閉塞性静脈炎、IgG4陽性形質細胞浸潤などを特徴とする比較的新しい疾患概念である。2011年にはIgG4関連疾患包括診断基準2011が提唱され診断に関しては標準化が図られている。 一方で、その長期予後については未だ明らかになっていない。今回、IgG4関連硬化性胆管炎の治療経過中に多重癌を合併した1例について報告する。 症例は84歳男性。前医において腹部CT所見から肝門部胆管癌と診断され、高齢であったこともありbest supportive careの方針となっていた。そのおよそ3年後(40か月後)に閉塞性黄疸を契機に当科紹介となり、血中IgG4上昇(147mg/dl)、左右肝管から総肝管にかけて胆管壁肥厚を認め両側肝内胆管の拡張を伴っていた。細胞診では悪性所見はみられなかったことからIgG4関連硬化性胆管炎疑診例と診断された。 その後、ステロイドを導入し(42か月後)胆管狭窄は改善し、血中IgG4値や肝胆道系酵素も低下傾向でありステロイドを漸減されていた。ステロイド導入後約2か月後(44か月後)に横行結腸癌、および、早期胃癌の2つの悪性腫瘍の合併がみられたが、前者については横行結腸切除術を行いCurAの根治度が得られ、いずれも根治術を行うことが可能であった。 IgG4関連疾患については悪性腫瘍の合併が多いとする報告もあり、IgG4関連疾患の診療にあたっては悪性腫瘍合併の可能性を念頭に置くことが重要と考えられた。
索引用語 IgG4関連疾患, 発癌