セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研21:発症後早期に外科的手術に至った9歳発症の潰瘍性大腸炎の1例 |
演者 | 重草 貴文(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野) |
共同演者 | 夏田 朱一郎(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 山本 章二朗(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 鈴木 翔(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 上原 なつみ(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 坂口 舞(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 橋本 神奈(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 山路 卓巳(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 安倍 弘生(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 三池 忠(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 田原 良博(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 佛坂 正幸(潤和会記念病院 外科), 下田 和哉(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野) |
抄録 | 【はじめに】小児においても潰瘍性大腸炎(以下UC)は増加しているが、10歳以下で発症する例は少ない。今回、9歳で発症し、ステロイド、インフリキシマブ(以下IFX)、タクロリムス(以下TAC)などの強力な治療を行うも寛解に至らず、発症後早期に外科的手術に至ったUCの1例を経験したので報告する。【症例】9歳、女児。201×年4月(第1病日)から血便が出現。その後、発熱や嘔吐も出現し、前医入院。感染性腸炎の診断で加療されたが、改善せず、絶食、中心静脈栄養管理下で第24病日に大腸内視鏡検査(以下CS)を施行され、全大腸にびまん性に浮腫、横行結腸からS状結腸に地図状潰瘍の多発を認め、全大腸炎型のUCと診断された。メサラジンを開始され、PSL1.0mg/kg/dayを1週間投与されたが改善なく、PSL2.0mg/kg/dayに増量され、当科に転院。転院時、UCDAI 8点、CSでは直腸Rsより口側に粘膿性分泌物の付着する地図状潰瘍が散見された。ステロイド抵抗性と考え、第40病日にIFX(5mg/kg)を投与し、徐々に症状は改善した。食事を開始したが再燃なく、2回目のIFXを投与し、退院となった。退院時UCDAI4点で、一旦は経過良好であったが、退院10日後に血便、腹痛が再燃した。メサラジン注腸を開始したが改善せず、UCDAI 9点であり、3回目のIFXを投与した。IFX投与後もUCは改善せず、第79病日よりTAC(0.05mg/kg/回×2回/日)を開始した。TAC投与後、血便は改善傾向を示したが、排便回数は5、6回/日で腹痛は残存しており、寛解に至らず、内科治療での寛解導入は困難と判断し、第114病日に外科的手術を施行した。【考察】小児UCは成人と比して、発症時から短期間で病変が広範囲になりやすく、また重症化しやすいため、成人よりも積極的な治療を必要とする場合が多いといわれている。本症例は、発症早期に重症化し、あらゆる強力な治療を行うも寛解に至らず、発症後早期に外科的治療に至った。小児UC治療の難しさを実感した症例であり、9歳発症という点からも稀であり、文献的考察を含めて今回報告する。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, 小児 |