セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
---|---|
タイトル | 専47:短期間で消化管病変を認めた高齢発症Henoch-Schonlein紫斑病の1例 |
演者 | 鈴木 翔(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野) |
共同演者 | 山本 章二朗(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 上原 なつみ(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 竹田 幸子(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 坂口 舞(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 夏田 朱一郎(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 橋本 神奈(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 山路 卓巳(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 三池 忠(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 安倍 弘生(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 岩切 久芳(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 蓮池 悟(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 永田 賢治(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 頼田 顕辞(宮崎大学医学部病理学講座 腫瘍・再生病態学分野), 片岡 寛章(宮崎大学医学部病理学講座 腫瘍・再生病態学分野), 下田 和哉(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野) |
抄録 | 【はじめに】Henoch-Schonlein紫斑病(HSP)はアレルギー機序から来る全身性の微小血管炎により、皮膚、消化管、腎臓、関節などが障害される疾患である。好発年齢は4-7歳であるが、成人発症が全体の約5%にみられる。今回、腸炎症状が先行し、短期間で典型的な紫斑と消化管病変が出現した高齢発症のHSPの1例を経験したので報告する。【症例】60歳、女性。20XX年5月初旬、嘔吐、下痢、腹痛、血便が出現し、当科受診。血液検査上、軽度のCRP上昇を認めるのみで、急性胃腸炎の診断で抗生剤、整腸剤で軽快した。なお、上部消化管内視鏡検査(GS)、大腸内視鏡検査(CS)では、明らかな異常所見を認めなかった。しかし、6月下旬から両下腿に点状の紫斑が出現、血便も再燃し、両手関節痛も認めた。再検したGS・CSでは、十二指腸球部~下行脚の粘膜は発赤しており、下行結腸の全周性に発赤した多発性のびらんや潰瘍を認め、一部自然出血しており、盲腸~上行結腸、下行結腸~直腸にかけて発赤調の多発性のびらんと粘膜出血を認めた。消化管からの生検では血管炎の所見は見られなかったが、紫斑部の生検で白血球破砕性血管炎の存在が示され、HSPと診断した。PSL40mg/日の内服を開始し、約一週間で紫斑・血便は改善傾向を認めた。血清クレアチニン値は正常範囲内で経過していたが、尿潜血・尿蛋白が(2+)で持続し、慎重に経過を追いながらPSLを減量中であり、消化器および皮膚症状の再燃はみられていない。【考察】本症例は、紫斑発症後のGS・CSで十二指腸下行脚に主座をおく発赤・びらん・潰瘍、大腸の広範にびらんを認め、HSPに特徴的な所見であった。先行する腸炎の際の内視鏡では、いずれも認めておらず、短期間に腸管病変が出現したことを証明しており、非常に興味深い症例であった。HSPの10-20%で腹部症状が皮膚症状に先行し、診断が困難なことがあるが、本例は紫斑出現時にHSPを疑い、即座に内視鏡を再検したことが早期診断につながったと思われる。高齢発症という点からも比較的稀であり、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | Henoch-Schonlein紫斑病, 高齢者 |