セッション情報 ワークショップ2「消化器がんの薬物療法」

タイトル WS2-07:

大腸癌肝転移に対する術前化学療法症例における再発および予後因子の検討

演者 坂本  快郎(熊本大学消化器外科DELIMITER熊本大学消化器癌集学的治療学)
共同演者 別府 透(熊本大学消化器外科DELIMITER熊本大学消化器癌集学的治療学), 新田 英利(熊本大学消化器外科), 今井 克憲(熊本大学消化器外科), 林 洋光(熊本大学消化器外科), 宮本 裕士(熊本大学消化器外科), 近本 亮(熊本大学消化器外科), 石河 隆敏(熊本大学消化器外科), 馬場 秀夫(熊本大学消化器外科)
抄録 【はじめに】近年の大腸癌に対する化学療法の発展に伴い、大腸癌肝転移に対する治療方針は変化しつつあり、予後改善を期待しての術前補助化学療法や切除不能症例のconversionが報告されている。【目的と対象】新規化学療法・分子標的治療を導入した2005年1月から2012年12月までに、術前に化学療法を施行後、肝切除術を施行した62症例の再発および予後因子を検討した。【結果】年齢中央値は65.5 (35-83)歳、男性38例、女性24例であった。原発巣は結腸36例、直腸26例、転移時期は同時性39例、異時性23例であった。化学療法前における最大腫瘍径中央値は26 (9.7-310)mm、転移個数平均値は3 (1-36)個で、H1、H2、H3 それぞれ26例、30例、6例であった。化学療法の効果はPR38例、SD17例、PD7例であった。化学療法施行前のCEA高値例は50例、CA19-9高値例は38例で、化学療法施行後のCEA高値例は47例、CA19-9高値例は17例であった。1年・3年無再発生存率(DFS)はそれぞれ64.0%、35.7%で、1年・3年全生存率(OS)はそれぞれ100.0%、74.6%であった。化学療法前の腫瘍マーカーと再発および予後との相関は認められなかったが、肝切除前CEA高値例では有意に再発率が高く(p<0.005)、CA19-9高値例は予後不良であった(p<0.0005)。【まとめ】大腸癌肝転移に対する術前化学療法症例では、肝切除前のCEAが再発危険因子、肝切除前CA19-9が予後不良因子であった。術前化学療法症例においては、腫瘍マーカーが適切な肝切除タイミングの指標となる可能性が示唆された。
索引用語 大腸癌肝転移, 術前化学療法