セッション情報 ワークショップ2「消化器がんの薬物療法」

タイトル WS2-09:

カペシタビンによる重篤な腸炎の検討

演者 柴田 義宏(県立宮崎病院 化学療法科)
共同演者 橋本 神奈(県立宮崎病院 内科), 田原 良博(県立宮崎病院 内科), 後藤 敏之(県立宮崎病院 内科), 上田 章(県立宮崎病院 内科)
抄録 Capecitabine(CAP)はフッ化ピリミジン系経口抗がん剤であり、本邦では手術不能・再発乳癌に対して2003年4月に承認された。消化器癌に対しては2007年12月に結腸癌における術後補助化学療法、2009年9月に切除不能進行・再発結腸直腸癌に対して追加承認された。2011年2月には切除不能進行・再発胃癌に対しても承認された。重篤な有害事象として下痢からの脱水症状や手足症候群が知られている。当院にてCAP併用化学療法にて虚血性腸炎を含む重篤な腸炎を来した3症例を経験した。症例1:59歳女性。S状結腸癌、肝転移に対して腹腔鏡下S状結腸切除施行。二期的に肝転移切除、MCT施行。術後6週目よりXELOX療法開始したがday9より下痢Grade2認め、血便もあり大腸内視鏡検査、CT検査にて虚血性腸炎と診断した。1ヶ月の絶食、TPN管理、腸管安静とするも改善乏しく人工肛門造設した。症例2:66歳男性。直腸癌、肝転移に対し低位前方切除術施行。FOLFIRI+Bevacizumab(Bv)療法を開始し19コース後に腫瘍増大を認めXELOX+Bv療法へ変更した。day7に下痢Grade1認め、day10にGrade2、day15にはGrade3に増悪した。発熱、CRP上昇、プロカルシトニン陽性であり感染性腸炎と判断し、絶食、抗生剤投与にてday36に下痢Grade0に改善した。症例3:36歳男性。StageIV胃癌に対してTS-1/CDDP療法1コース施行後、HER2陽性にてCAP+CDDP(XP)+Trastuzumab療法に変更した。4コース後癌性心膜炎にて増悪を認めweekly Paclitaxel療法に変更した。2コース後に増悪を認め再度XP療法に変更した。XP療法3コース目day16より下痢Grade2、腹痛、発熱、手足症候群Grade2、FNGrade3を認めた。CTにて広範囲な結腸炎を認め絶食、抗生剤投与にてday31に改善した。CAPによる腸炎は内服開始早期だけでなく、数コース後にも起こることがあり、重症化することもあるために外来化学療法中の状態把握、早期対応が必要である。
索引用語 カペシタビン, 薬物性腸炎