セッション情報 ワークショップ2「消化器がんの薬物療法」

タイトル WS2-02:

進行・再発食道癌に対する1次化学療法の現状とフッ化ピリミジン・プラチナ併用化学療法後のドセタキセルとパクリタキセルの後方視的比較研究

演者 白川 剛(国立病院機構九州がんセンター 消化管・腫瘍内科)
共同演者 江崎 泰斗(国立病院機構九州がんセンター 消化管・腫瘍内科), 加藤 健(国立がん研究センター中央病院 消化管内科)
抄録 <背景>フッ化ピリミジン系薬剤とプラチナ系薬剤の併用化学療法(F+P CTx)は進行・再発食道がんの1次化学療法として広く用いられている。タキサン系薬剤は上記ベースの化学療法不応例に対する効果が示されているが、2次化学療法の標準治療として確立されたものはない。 <目的・方法>F+P CTx後にドセタキセル(DTX) 60-70mg/sqm/q3wks,パクリタキセル(PTX) 80-100mg/sqmで6週投薬2週休薬が行われた進行・再発食道扁平上皮癌,performance status 0~2,適切な臓器機能を有している163症例を後方視的に解析した。<結果>2007年1月から2012年12月まで(DTX/PTX=132/31例)を解析した。性別はDTXが男/女=117/15例,PTXが27/4例、年齢中央値と範囲はDTXが64歳(37-79歳),PTXが61歳(39-83歳)であった。奏効割合はDTX/PTX=5.9%/20.7%,病勢制御割合はDTX/PTX=27.7%/58.6%でPTXに良い傾向を認めた。無増悪生存期間は両群とも2.3ヵ月,生存期間中央値はDTX/PTX=5.5/6.1ヵ月(p=0.242)であり、有意差は認めなかった。神経毒性はPTX群で61%、DTX群で13%とPTX群で有意に高く、Grade 3以上の血液毒性の割合がDTX群に高い傾向にあった。多変量解析の結果、PS 2以上,転移臓器個数3個以上,治療開始時のCRP 1mg/dl以上が、独立した予後不良因子であった。<考察>進行・再発食道癌に対する2次化学療法としてPTXとDTXは両者共効果並びに認容性があるが、患者の状態と毒性のプロファイルに配慮しながら治療選択を行う必要がある。1次化学療法の現状も含めて発表を行う。
索引用語 食道癌化学療法, タキサン系薬剤