セッション情報 ワークショップ16(消化器病学会・消化器外科学会合同)

消化器癌に対する緩和医療

タイトル 消W16-2:

緩和ケア専門施設における消化器癌に対する緩和ケアの現状

演者 日下部 俊朗(東札幌病院・内科)
共同演者 小池 和彦(東札幌病院・緩和ケア科), 石谷 邦彦(東札幌病院・内科)
抄録 【目的】当院は癌の診断、治療、緩和医療までを一貫として行う、緩和ケア病棟2病棟58床を含む243床の癌専門病院である。今回、緩和ケア専門施設における消化器癌に対する緩和医療の現状および症状マネジメントについて検討したので報告する。【方法】対象は平成23年1月1日から同年12月31日までの1年間に悪性腫瘍で死亡した808名のうち消化器癌で死亡した287名(35.5%)である。検討項目は癌による症状および症状マネジメント、オピオイド等を用いた疼痛コントロールである。癌による症状は入院時CTCAE v4.0に準じて評価した。【結果】消化器癌の内訳は結腸・直腸癌68名(23.7%)、膵臓癌62名(21.6%)、胃癌61名(21.3%)、胆道癌35名(12.2%)、肝臓癌32名(11.1%)、食道癌27名(9.4%)、その他2名(0.7%)であった。癌による症状は全身倦怠感266例(92.7%)、食欲不振263名(91.6%)、腹痛176名(61.3%)、便秘173名(60.3%)、癌性腹膜炎に伴うGrade 2以上の腹水76名(26.5%)で穿刺ドレナージは24名(8.4%)で行われた。Grade 2以上の嘔気は75名(26.1%)でイレウス管留置や消化管ステント等は14名(4.9%)、Octreotideは13名(4.5%)であった。全身倦怠感・食欲不振・鎮痛補助等として190例(66.2%)にsteroidが投与されていた。オピオイド投与は232名(80.8%)であり、剤型は経口剤91例(31.7%)、貼付剤88例(35.6%)、注射剤205例(71.4%)であったが、入院当初は経口または貼付剤が用いられ、終末期は注射剤に変更される傾向にあった。種類は塩酸モルヒネ129例(44.9%)、オキシコドン(42.9%)、フェンタニル99例(34.5%)であったが、消化管癌は塩酸モルヒネが多く、肝胆膵癌ではオキシコドンが多い傾向にあった。疼痛緩和目的の治療として放射線照射25例(8.7%)、化学療法16例(5.6%)で行われていた。【結論】消化器癌による症状は臓器により症状の頻度や用いられる薬剤に特徴があり、症状緩和のためには病態を把握し、適切な治療を組み合わせて集学的に行う必要がある。
索引用語 緩和ケア, 緩和医療