セッション情報 |
シンポジウム4(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
胃がん検診の理想的な住み分け:新しい検診方式を目指して
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タイトル |
検S4-12追:胃がんリスク評価を用いた胃がん検診の展開
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演者 |
伊藤 公訓(広島大・消化器・代謝内科) |
共同演者 |
吉原 正治(広島大保健管理センター), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科) |
抄録 |
【背景と目的】現在の胃がん検診は,バリウムを用いた X線検診,内視鏡検診という形態学的検査を中心に,集団,個別,施設等検診で実施されている。胃がん発生に関わる主たるリスクファクターであるヘリコバクターピロリ(Hp)の一次感染は本邦では急速に減少し,また、既感染者における除菌例も増えており,検診対象者の胃がんリスクの状態も変化してきている。そのため、胃がんリスク評価は,いずれの形態的診断法にも活用すべき考え方である。血清学的マーカーによる胃癌リスクの評価としてHp抗体と血清ペプシノゲン値による区分が現在多く用いられている。ここでは特に低リスクに分類される症例群(Hp陰性かつPG陰性)について、(1)Hp既感染例の混在、すなわち偽陰性の程度、(2)純粋な未感染例からの発癌頻度について検討を行った。【方法と成績】(1)2003-2011年に広島大学病院にて早期胃癌と診断され、内視鏡治療をうけた887症例(平均年齢68.0歳)のうち(Hp陰性かつPG陰性)群と判定されたのは148症例(16.7%)であった。(2)1996-2010年に広島大学病院にて内視鏡的に胃癌と診断された3,161例のうち、Hp陰性胃癌(検鏡法・培養法・尿素呼気試験・抗体法の2つ以上においてHp 陰性、かつ組織学的胃炎のない症例)は0.66%であった。【結論】以上より、(Hp陰性かつPG陰性)については検診対象にはならない程度に低頻度であるが、胃癌が全くないのではなく、頻度が小さいことの説明が必要である。また、Hp抗体、PG検査で判別した場合には、数値による偽陰性や除菌の場合など偽陰性の可能性がありうるため、応用としては、一度は形態学的検査での確認が望ましく、精度と有効性の検証が必要である。 |
索引用語 |
H. pylori, pepsinogen |