セッション情報 ワークショップ16(消化器病学会・消化器外科学会合同)

消化器癌に対する緩和医療

タイトル 消W16-7:

胃十二指腸ステント留置の緩和医療における役割

演者 佐々木 隆(東京大・消化器内科)
共同演者 伊佐山 浩通(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】胃癌および胆膵癌を中心とした消化器癌では、癌の進行に伴ってしばしば悪性胃十二指腸閉塞を併発する。消化管閉塞を伴うと、嘔気・嘔吐などの症状が出現し、QOLが著明に低下してしまう。現在このような悪性胃十二指腸閉塞に対して内視鏡を用いた消化管ステント留置が普及しつつある。そこで胃十二指腸ステント留置の緩和医療における役割について考察する。【方法】対象は、当院および関連施設において、悪性胃十二指腸閉塞に対してWallFlex duodenal stentを留置した105例のうち、初回留置例としてステント留置した63例。【結果】年齢中央値69歳(47-93歳)、男:女=37:26、KPS 100-90:80-60:50-30=17:27:19。胃癌:十二指腸癌:膵癌:胆道癌:その他=20:2:28:11:2。腹水貯留例28例(44.4%)。ステント留置のタイミングは、診断時14例(22.2%)、治療経過中49例(77.8%)で、診断からステント留置までの期間中央値は7.2ヵ月であった。ステント留置の手技成功率100%であり、手技時間中央値は40分であった。臨床的成功率84.1%、median GOOSS 0→2(p<0.0001)と有意に改善した。90.5%の患者で液体摂取が可能となり、79.4%の患者が軟菜まで摂取できた。固形食まで摂取可能であった患者は全体の44.4%であった。摂食可能期間中央値2.6ヵ月、生存期間中央値3.7ヵ月であった。ステント閉塞は20.6%に認めたが、いずれもre-interventionにて対処可能であった。【結論】悪性消化管閉塞は、治療経過中に発症していることが多かったが、消化管ステント留置により、摂食状況は著明に改善していた。約8割の患者において、ステント留置1回で最期を迎える直前まで摂食が可能であった。ステント閉塞をきたした症例においても、re-interventionにて対処可能であった。以上より、消化管ステント留置は消化管閉塞を伴う消化器癌患者のQOLを著明に改善し得る治療法であると考えられた。
索引用語 十二指腸ステント, 悪性消化管閉塞