セッション情報 ワークショップ16(消化器病学会・消化器外科学会合同)

消化器癌に対する緩和医療

タイトル 外W16-8:

悪性大腸狭窄に対する緩和的アプローチ:人工肛門造設よりも金属ステントの留置を

演者 斉田 芳久(東邦大医療センター大橋病院・外科)
共同演者 榎本 俊行(東邦大医療センター大橋病院・外科), 草地 信也(東邦大医療センター大橋病院・外科)
抄録 【目的】当院では消化器外科医を中心とした緩和チームを立ち上げ院内の横断的緩和ケアを行っている。消化管閉塞症状に対しては酢酸オクトレオチド投与と共に胃瘻やバイパス手術などを積極的に行っている。比較的頻度の高い根治的手術の適応でない悪性大腸狭窄の緩和医療としては、従来開腹による人工肛門造設術行われていたが、最近は内視鏡的にself-expandable metallic stent(EMS)を留置している。当科で姑息的治療目的に行った大腸EMS治療の成績を分析しその有用性と問題点を検討した。【方法と成績】2011年12月までに施行した大腸EMS留置150例のうち緩和医療としての姑息的治療目的留置は34症例40例27%であった。留置部位は盲腸2例、横行結腸6例、下行結腸3例、S状結腸11例、Rs 8例、Ra 11例であった。病変は原発性大腸癌が22例65%と最も多く、ついで大腸癌局所再発が6例、胃癌腹膜播種結腸浸潤4例、前立腺癌S状結腸浸潤、卵巣癌S状結腸浸潤が各1例であった。根治手術を施行できなかった理由は、高齢による全身状態の不良が7例、根治手術のできない遠隔転移の存在が27例であった。留置は盲腸とS状結腸の2例以外には可能で留置率は95%であった。挿入期間は10-576日、中間値は152日であった。挿入留置手技にともなう偶発症、手技関連死亡例はなかった。晩期偶発症は、穿孔2例5%、腫瘍のingrowthが3例8%、腫瘍のovergrowthが1例3%、EMSのmigrationが4例11%、固便による閉塞1例3%、であった。穿孔の1例は手術にて救命したが2例は腹膜炎で死亡された。ingrowth/overgrowth症例は主にstent in stentで治療した。migrationの2例はEMS再留置、1例は手術、1例は経過観察となっている。【結論】本法は、手術に比較して人工肛門を回避することが可能であるだけでなく、安価安全で有効率も高く治療時間も短い。本邦で2012年からようやく保険収載され今後第一選択的治療法になりうる。
索引用語 大腸悪性狭窄, 大腸ステント