セッション情報 ワークショップ16(消化器病学会・消化器外科学会合同)

消化器癌に対する緩和医療

タイトル 消W16-9:

上下部消化管悪性狭窄に対するステント留置術

演者 白鳥 俊康(亀田総合病院・消化器内科)
共同演者 中路 聡(亀田総合病院・消化器内科), 平田 信人(亀田総合病院・消化器内科)
抄録 【はじめに】本邦でも悪性消化管狭窄に対するステント留置術が保険収載され広く普及しつつある.今回,当施設における悪性消化管狭窄に対するステント留置術の成績を上下部に分け検討しその結果を報告する.【対象】2009年2月~2012年2月までに施行した臨床症状を有する悪性消化管狭窄77症例.上部は59例(消化管原発癌33例,非消化管原発癌による直接浸潤・播種26例),下部は18例(結腸癌14例,非結腸癌による直接浸潤・播種4例)であった.狭窄部は上部では前庭部21例,十二指腸球部5例,下行部13例,水平部10例,胃空腸吻合部8例,空腸2例であり,下部は全例結腸(A:5例,T:2例,D:2例,S:9例)であった.【方法】ステントは上部でNiti-S stent 4例,Wall Flex 55例,下部でNiti-S stent 13例(cover6例,bare7例),Wall Flex 5例(上部用3例,下部用2例)を使用し全例TTS法で挿入した.留置成功率・有効率・開存期間・臨床症状再燃率で検討.【結果】上下部ともに全例で留置成功.平均処置時間は上部で28.5分,下部で45.7分.上部では嘔吐の改善または食事摂取をもって,下部では排便をもって有効とした.有効率は上部で98%(58/59),下部で100%(18/18).臨床症状の再燃率は上部で15.3% (9/59),下部で33.3% (6/18).平均開存期間は上部で74.2日,下部で89.7日.stent機能不全の原因は上部でovergrowth2例,ingrowth2例,逸脱1例,下部でovergrowth1例,ingrowth1例,逸脱1例,糞便閉塞1例.留置後合併症は上部で出血1例,穿孔2例を認めたが,いずれも保存的加療で改善した.また,1例でステント断裂を認めた.下部では穿孔を1例で認め腹膜炎を合併したため外科的手術を施行した.【結語】下部ステント挿入でやや処置時間が長かったが,上下部いずれも容易にステントを挿入することが可能であった.高い有効率であり,低侵襲の処置であるために末期癌患者のQOL改善に果たす役割が大きいと考える.しかし外科的治療に比べてステント開存期間が短いことが問題であり,特に結腸癌は平均生存期間も長いため長期開存を期待出来るステントの改良が望まれる.
索引用語 悪性消化管狭窄, ステント