セッション情報 |
医療パネルディスカッション第1部
消化器病学と医療現場のDiscrepancy(乖離)
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タイトル |
SPD1-4:消化器関連医療機器に関する日本の課題と方向性
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演者 |
関野 秀人(厚生労働省医政局経済課医療機器政策室) |
共同演者 |
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抄録 |
医療界が実践での日頃の尽力によって産み出す「創意工夫」と科学から導かれる知識や技術への「期待(医療側ニーズ)」に対して,産業界の知識・技術が一定の生産性を伴う対応が可能となった瞬間,製品としての医療機器が誕生します.実際これまで数多くの創造性豊かな医療機器が製品化され,その結果,近年の医療は大きく高度化するとともに医療の質が向上し,疾病の早期診断と効果的でかつ侵襲性の低い治療の実施につながっています.したがって,今後,医療界と産業界がより一層強固な協調関係を構築し,そこに行政が医療機器の開発や使用に関する承認許可制度及び医療保険制度の設計管理や運用を担う立場として,ときに関係者間の調整機能を発揮することも含めて関与する相互連携体制を整えることが重要です.医療機器の実用化にあたり,医療界にとってのキーファクターは「これまで以上の診断・治療の実現」や「使い勝手の向上」ではないでしょうか.一方,産業界側は「製品化による事業の確実性」や「生産の効率性」だと考えます.他にも様々なコンセプトに基づいて医療機器は設計され,試作され,そして試験研究の実施を通じた検証が行われ,制度上の水準を満たしたものが実用化されます.これら一連の工程の初期段階にのみ医療界が,また最終段階にのみ行政がそれぞれ関わっているのでは相互連携体制は充分とは言えません.あらゆる事象や知識・技術が高度化し,研ぎ澄まされた結果を要求される近代社会では,複数の専門性が完全な縦割りの役割分担ではなく,互いに少し重なり合うかたちの緩やかな分業体制が求められます.そして,医療機器の実用化には優れた技術,費用,時間,法律・制度などが必要ですが,これらを創り出すのも有効に活用するのも「人」です.立場が異なる関係者間の連携を可能にする共通の志を持った人たちが,真に国民に必要な医療機器を迅速かつ持続的に創出する道を切り拓くと確信しています. |
索引用語 |
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