セッション情報 医療パネルディスカッション第2部

地域医療における消化器病学の役割

タイトル SPD2-2:

勤務医の待遇改善と地域医療―診療報酬との関連

演者 福田 健(獨協医科大学,栃木県医師会・勤務医部会)
共同演者
抄録 住民の医療ニーズを満たし且つ安全な地域医療を守るためには,過重労働で疲弊しきった病院勤務医の労働環境を改善することが喫緊の課題である.厚労省は平成22年度診療報酬改定において,病院勤務医の負担軽減に資する体制整備に結びつく算定項目の拡大・新項目の設置を行った.具体的には,医師事務作業補助者の配置に対する評価の充実,充実した急性期医療を提供する医療機関に対する評価,栄養管理や呼吸ケアなど医師以外の他職種から成るチーム医療に対する評価などである.これら拡大・新設された項目が実際に活用され,結果として病院勤務医の負担が軽減されているかを検証するために,中医協は平成23年9月,無作為抽出した医療機関(回答は804施設),そこに従事する医師らを対象に実態調査を行った.届け出件数が多かった項目は医師事務作業補助体制加算(43.8%),次いで急性期看護補助体制加算(43.3%),栄養サポートチーム加算(18.5%)であった.負担軽減に効果ある項目はどれかの問いに,勤務医は医師事務作業補助体制加算,急性期看護補助体制加算,栄養サポートチーム加算を挙げ,施設の届け出状況と一致していた.栃木県医師会でも平成24年1月に栃木県内108の病院とそこに勤務する医師1960名を対象に同様の調査を実施した.本調査では平成21年の実態についても質問し診療報酬改定の直接影響を検討した.改訂後明らかに届け出件数が増加した項目は医師事務作業補助体制加算(50:1)で改訂前の1施設から改訂後5施設に増加した.導入施設の勤務医に対する業務負担は軽減したかの問いに55.6%が減ったと回答した.新設項目の届け出状況は,栄養サポートチーム加算43.8%,呼吸ケアチーム加算12.5%で,中医協による調査結果と同様であった.以上のように,勤務医の負担軽減を目指した平成22年度診療報酬改定は,医師の事務業務の軽減,チーム医療促進による医師業務の軽減を中心に一定の成果をみた.さらに詳細に解析することにより,軽減負担に繋がる病院体制を構築できるものと思われる.
索引用語