セッション情報 特別企画1

完成間近のガイドライン改訂と新ガイドライン作成作業の現状

タイトル SS1-1[基]:

診療ガイドライン作成方法

演者 吉田 雅博(化学療法研究所附属病院)
共同演者
抄録 1.診療ガイドラインとは何か?Clinical Practice Guidelines We Can Trust(Institute of Medicine)2011によれば,「診療ガイドラインとは,ある診療方法に関するエビデンスのシステマティックレビューによる情報と,それ以外の治療方法による利益と損害の評価との情報に基づいて作成され,患者に最適な治療を提供することを目的とした推奨が含まれた文書」とされています.2.診療ガイドラインの作成手順実際のガイドライン作成手法としては,Appraisal of Guidelines for Research & Evaluation(AGREE)IIの23項目が代表的であり,作成方法論的な評価にも用いられます.(1)スコープ作成:作成団体と作成委員ガイドラインの企画書にあたるものがスコープで,最初に作成されます.作成委員会には,当該領域の診療に関して日本の中心的な学会・研究会等の組織が望ましく,委員は患者の代表も含めた各領域の専門家の参加が奨められています.利益相反(COI)管理も必要です.(2)エビデンス(根拠)評価と統合エビデンスの強さは,その推奨診療を支えるのにどれほど確かか,を表しています.バイアスの程度,非直接性,非一貫性,不精確性,出版バイアスを検討し,エビデンス総体として評価統合します.(3)推奨診療推奨の強さはエビデンス,益と害,患者の意向,経済評価を検討して,コンセンサスによって決定されます.(4)活用・導入作成された診療ガイドラインが医療の質向上に役立つためには,ガイドラインをいかにして臨床に普及させるかが重要になります.インターネット広報として,厚生労働省委託事業であるEBM普及推進事業Mindsなどが知られています(http://minds.jcqhc.or.jp/).(5)評価・改訂臨床医療が日々進歩してゆくため,診療ガイドラインは,出版後時間経過とともに臨床適応性が低下します.このためその内容は更新される必要があります.3.診療ガイドラインに関する注意点EBMの3要素は,医師の技量専門性,エビデンス,患者の意見嗜好であり,実際の治療方針決定は主治医と患者でよく相談して決めるべきことであります.
索引用語