抄録 |
我が国の難病対策は,昭和47年に「難病対策要綱」が策定され,本格的に推進されるようになって40年以上が経過した.その間,各種の事業を推進してきた結果,難病の実態把握や治療方法の開発,難病医療の水準の向上,患者の療養環境の改善及び難病に関する社会的認識の促進に一定の成果をあげてきた.しかしながら,医療の進歩や患者及びその家族のニーズの多様化,社会・経済状況が変化する中で,原因の解明にはほど遠い疾患であっても,研究事業や医療費助成の対象に選定されていないものがあるなど難病の疾患間で不公平感があることや,医療費助成について都道府県の超過負担が続いており,その解消が求められていること,難病に関する普及啓発が不十分なため,国民の理解が必ずしも十分でないこと,増加傾向にある難病患者の長期にわたる療養と社会生活を支える総合的な対策が不十分であることなど,様々な課題が指摘されている.こうした課題を前に,難病対策全般にわたる改革が強く求められるところとなり,難病対策委員会で平成25年1月に「難病対策の改革について(提言)」が取りまとまった.8月には社会保障制度改革国民会議報告書が公表され,ここにおいても難病対策の改革が盛り込まれ,その後検討が再開された難病対策委員会では,12月に,難病患者に対する良質かつ適切な医療の確保と難病患者の療養生活の質の向上を目的として官民が協力して取り組むべき改革の内容について,「難病対策の改革に向けた取組について」が取りまとめられたところである.平成26年通常国会に提出され審議が行われている難病新法(仮称)においては,平成27年1月より新たな医療費助成を施行予定としているが,その中で新たに難病指定医(仮称)が位置付けられ,その役割等についてご理解頂きたいものであることから,今回ご紹介する. |