セッション情報 女性消化器医師支援委員会特別企画

トップリーダーに聞く女性医師支援

タイトル SS3-2:

女性医師支援のソリッドなシステム構築と文化の醸成―女性医師支援委員(肝臓)代表として―

演者 竹井 謙之(三重大学消化器内科学)
共同演者
抄録 長年教室の内外で女性医師と一緒に仕事をする機会を得ましたが,真摯な向上心,患者さんとのコミュニケーション能力など,医師としての資質・能力の高さに感銘を受けることが多くありました.様々なライフステージで女性医師のキャリア形成支援を行い,男性・女性医師の共同参画を推進することは消化器・肝臓病学の発展,社会への貢献にとってきわめて意義のあることです.しかし家事負担は女性に偏り,さらに出産,子育て時期に一時的であれ離職を余儀なくされるという現実もあります.消化器・肝臓内科領域では医療の高度化,とりわけ内視鏡治療やRFAなど高度な手技を要する侵襲的介入技法が多くなり,救急対応も含め,内科系の中では最も外科系に近い要素を含んでいます.加えて専門医資格の取得・維持には今後コンピテンシーが一層重視される方向にあります.一時的離職時に最新医療知識をアップデートすることはともかく,技術スキルを維持・向上させ,モチベーションを保って復職に臨むことは高いハードルが存在すると言えましょう.パートナーの協力を含む個々の努力や工夫,職場の支援体制,復職後の保育支援(病児保育を含む),などすべて重要です.しかし,国や学会が前面に出たソリッドな女性医師支援のシステム構築,そしてそれが有効に機能するしくみの整備こそが焦眉の課題です.Web等での実効性を伴う研修や復職時に特別な研修機会を提供し,それを専門医制度にしっかり組み込むこと,復職時のポストと職務の確保,キャリア構築のフレキシビリティを実現し,これらが社会に貢献するソフトインフラであることを医療界と国民の共通認識に高めていくべきです.また学部生・研修医の時期から男女共同参画の意義とそれを支援する制度について正しい知識を与え,実際に活用ができるよう教育を行うことも重要でしょう.医師や施設の個々の努力,犠牲精神,「諦観」を超え,女性医師の力が十全に発現できる社会機構の確立と文化の醸成が必要だと考えます.
索引用語