セッション情報 |
シンポジウム1
消化管幹細胞研究の新たな展開
|
タイトル |
S1-2:マウスモデルを用いた大腸がん幹細胞マーカー候補Dclk1の同定
|
演者 |
千葉 勉(京都大学消化器内科学講座) |
共同演者 |
中西 裕貴(京都大学消化器内科学講座), 妹尾 浩(京都大学消化器内科学講座) |
抄録 |
がんには正常組織幹細胞と類似した性質を持つ「がん幹細胞」が存在する.このため,がん幹細胞を標的とする治療法の開発が期待されている.しかしがん幹細胞マーカーの多くは正常組織幹細胞にも発現しているため,それらを標的とすると,正常組織幹細胞も傷害され副作用は避けられない.そこで正常組織幹細胞から区別し得る「がん幹細胞特異的マーカー」の同定が必要である.我々は,大腸がん組織に発現するDclk1が,大腸がん幹細胞の特異的マーカー候補であることを,マウスを用いたgenetic lineage tracingで証明した.すなわち,Dclk1-creERT2ノックインマウスとApcMinマウスを用いたlineage tracingで,Dclk1は正常腸管の幹細胞マーカーではないが腫瘍幹細胞のマーカーであることが明らかとなった.またDclk1陽性細胞を選択的に障害したところ,正常腸管には障害なく,腸腫瘍のみが退縮することが確認された.Dclk1陽性細胞は,他のヒト消化器がんや消化器がんモデルマウスにおいても散在しており,本シンポジウムでは,消化器がんおけるDclk1の意義について検証したい. |
索引用語 |
|