セッション情報 シンポジウム3

難治性GERDの病態と治療

タイトル S3-2:

難治性GERDの臨床的特徴についての検討(GERD研究会調査3より)

演者 中田 浩二(東京慈恵会医科大学消化管外科)
共同演者 松橋 信行(NTT東日本関東病院消化器内科), 城 卓志(名古屋市立大学消化器・代謝内科学)
抄録 PPI治療に抵抗性の難治性GERD患者の増加が問題となっている.【目的】難治性GERDの臨床的特徴を明らかにするために検討を行った.【方法】GERD委員会調査3へ参加の50施設を受診したモントリオール定義に基づくGERD症状を有する患者を対象に内視鏡検査と標準用量のPPIの4週間投与を行った.患者背景と投与前,2・4週後に質問票〔GERD-TEST(本試験用に策定した質問票),HADS(2週後は施行せず),SF-8〕による調査を行った.調査票を回収し得た340名のうち適格290名(男性178名,女性112名)を解析対象とした.PPI治療後の症状残存率が50%>=のレスポンダ(R)群と50%<の難治性GERD(NR)群について患者背景,GERD/FD症状,生活(食事,睡眠,身体活動,気分)への不満度,不安・抑うつ,QOLを比較検討した.【結果】R群,NR群におけるERD/NERDの数は105/40,26/22でありR群にERDが有意に多かった.他の背景因子では両群に差を認めなかった.R群では治療前GERD症状スコアが有意に高かったが,逆に精神的QOL(MCS)は有意に良好であり,身体的QOL(PCS),不安・抑うつ,生活(食事,睡眠,身体活動,気分)への不満度では両群に差を認めなかった.治療後4週ではR群の方がGERD症状スコアが有意に低く,PCS,生活(睡眠・身体活動・気分)への不満度はNR群と比べて有意にすぐれていた.【結論】R群とNR群ではGERD症状の強さが生活への不満度やQOLに及ぼす影響(=臨床的特徴)が異なった.今回の検討では,NR群にNERDの割合が高く,治療前のGERD症状スコアが低いのにMCSが不良であること以外にPPI治療への反応性を予測しうる因子は見当たらず,今後さらなる検討が必要と考えられた.
索引用語