セッション情報 |
シンポジウム3
難治性GERDの病態と治療
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タイトル |
S3-5:当院におけるHigh Resolution Manometryを用いた難治性NERD症例における食道運動の検討
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演者 |
松村 倫明(千葉大学消化器内科) |
共同演者 |
新井 誠人(千葉大学消化器内科), 横須賀 收(千葉大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】胃食道逆流症(GERD)のうち,非びらん性胃食道逆流症(NERD)は,プロトンポンプ阻害薬(PPI)を投与しても40~50%で症状が改善しないと報告されており,NERD症例にはさまざまな病態が含まれている可能性が示唆されている.そこで今回我々は,難治性NERD症例に対して,High Resolution Manometry(HRM)と食道生検を施行し,食道運動障害,好酸球性食道炎の有無を検討した.【方法】2011年2月~2013年9月までの期間当院にて施行したFSSGスコア8以上のGERD症例のうち内視鏡にて食道炎の所見を認めず,PPI標準量4週間投与で症状の改善しない症例を難治性NERD症例と定義し,今回の対象とした.HRMの評価はシカゴ分類に従って分類し,食道生検はZ lineより5cm,15cm口側より2箇所ずつ計4箇所施行し,好酸球浸潤15個≧HPFであった症例を好酸球浸潤陽性とした.【結果】33例の難治性NERD症例(男性14例,女性19例,年齢63±12歳)に対してHRM,食道生検を施行した.FSSGスコアの平均値は20.1であった.33例中20例(61%)はHRMにて異常を認めなかったが,11例(33%)に蠕動波異常を認め,うち1例がNutcracker esophagusであった.その他,食道運動障害としてのJackhammer esophagusを1例,内視鏡検査にて疑われなかったTypeIIアカラシアを1例に認めた.結果として13例(39%)にHRMにて異常所見を認めた.HRMにて所見を認めた群のFSSGスコアは18.4±7,認めなかった群は20.5±11であり両群間でFSSGスコアに有意差を認めなかった.好酸球性食道炎の検討ではHRMにてJackhammer esophagusの診断となった1例において,好酸球浸潤18個/HPFを認めた.好酸球性食道炎の合併を疑い,吸入用フルチカゾン経口投与を行い好酸球浸潤の改善は認めたが,症状は改善を認めず症状の主体はJackhammer esophagusによるものと考えられた.【結論】難治性NERD症例のうち約39%に食道運動異常を認めた.PPI投与にて改善のないNERD症例に対してはHRMを施行する事が望ましいと考えられた. |
索引用語 |
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