セッション情報 シンポジウム3

難治性GERDの病態と治療

タイトル S3-7:

難治性NERDにおけるbaseline impedanceの有用性の検討

演者 木幡 幸恵(大阪市立大学消化器内科)
共同演者 藤原 靖弘(大阪市立大学消化器内科), 荒川 哲男(大阪市立大学消化器内科)
抄録 【目的】難治性NERDの病態として不充分な酸分泌抑制,酸以外の逆流等の関与が挙げられ,その病態分類に多チャンネル食道インピーダンス(MII)-pHモニタリングが有用である.baseline impedanceは食道壁の固有の電気的伝導であり,GERD患者では正常人に比べて低値であることやGERD患者の食道粘膜の組織学的変化との関連が報告されている.そこで,難治性NERD患者におけるbaseline impedanceの有用性を検討した.【方法】PPI倍量投与(ラベプラゾール10mgを朝夕1錠ずつ)でも症状の改善しない症例を難治性NERDと定義した.37例(男性18例,女性19例,平均年齢58.1歳)に対し,PPI倍量内服下にMII-pHモニタリングを施行し,逆流パラメーターや逆流と症状の関連から病態を分類し,病態別の臨床的特徴やbaseline impedanceとの関連等につき検討した.【結果】逆流パラメーターが高値,もしくはSymptom indexが50%以上である逆流関連群は37例中26例であり,そのうち8例は酸逆流関連,18例は非酸逆流関連であった.11例の逆流関連無し群のうち9例は機能性胸焼け(Functional heartburn;FH)と考えられる症例であった.酸逆流関連群,非酸逆流関連群,FH群間で臨床的および内視鏡的特徴に有意差を認める項目はなかった.酸逆流関連群のbaseline impedanceは,非酸逆流関連群やFH群に比べて有意に低値であった.また,baseline impedanceはacid exposure time(r=-0.39,p=0.02),all reflux percent time(r=-0.52,p<0.01),acid percent time(r=-0.40,p=0.02)との負の関連を認めたが,逆流回数とは有意な関連は認めなかった.【結論】難治性NERDの病態分類にはMII-pHモニタリングが有効であり,酸逆流関連群では有意にbaseline impedanceが低かった.
索引用語