セッション情報 シンポジウム3

難治性GERDの病態と治療

タイトル S3-8:

PPI倍量抵抗性NERD患者の病態と治療

演者 川見 典之(日本医科大学消化器内科学)
共同演者 岩切 勝彦(日本医科大学千葉北総病院消化器内科), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学)
抄録 【目的】PPI倍量抵抗性NERD患者の病態を検討し,その結果に基づく治療の成績を明らかにする.【方法】対象はPPI倍量抵抗性NERD患者43例である.PPI倍量抵抗性NERDと診断後,好酸球性食道炎(EoE)の存在を確認するため内視鏡検査を行い,食道体部より生検を行った.内視鏡検査において異常がみられない場合には食道内圧検査を施行し,食道運動障害の有無を確認した.原因と考えられる食道運動障害がみられない場合には食道pH・インピーダンス検査を施行し,逆流と症状の関連を検討した.液体逆流症状は逆流発生後5分以内の症状とした.逆流と症状の関連はsymptom index(SI)により評価を行い,SIが50%以上であった場合に症状は液体逆流に関連するものと判定した.空気単独逆流と症状の関連に関しては,個々の空気逆流と症状について検討を行い判定した.【成績】43例中の1例がEoE,4例は食道運動異常症(Jackhammer esophagus【JH】3例,rapid contractions with normal latency【RN】1例)であった.残りの38例に対して食道pH・インピーダンス検査を施行した.19例が液体逆流に対してSI陽性であった.また2例は空気単独逆流による胸やけと診断した.計43例中26例(60%)の原因が明らかとなった.EoEはPSL内服により症状改善,JHの3例中2例は症状出現のメカニズムの説明および食事摂取方法の改善により症状改善,JHの1例とRNの1例は胸腔鏡によるlong myotomyを行い症状の改善がみられた.液体逆流に対してSI陽性であった患者19人に対して,症状のメカニズムが明らかになったことにより納得された方が5例,手術は希望されず継続的な治療を行っている方が8例,症状が強いため逆流防止術を選択された方が6人であった.手術を選択された6人中,ほぼ症状が改善した症例が3例,以前より症状が軽減し治療に対して満足されている方が3人であった.【結論】PPI倍量抵抗性NERD患者の原因を検討した所,60%の患者の原因が明らかとなり,原因に基づく治療法の選択により,症状の改善が得られた.
索引用語