抄録 |
【背景】超音波内視鏡ガイド下腹腔神経叢ブロック(以下CPN)の普及に伴いその有効性・安全性は高く評価されるようになってきたが、既存の報告は効果判定を術後ワンポイントでのみ行うものが多く、長期的な有効性に関して十分なエビデンスが得られているとは言えない。【目的】CPN施行後の長期観察成績について報告する。【対象・方法】2003年4月から現在までに当院および関連施設においてCPN関連手技を施行し死亡時まで経過が確認できた98例のうち、施行後1ヶ月以内に死亡した6例を除外した92例を対象とした。CPN後7日目にvisual analogue scale(VAS)により初回評価を行い、その後の経過で麻薬性鎮痛剤を導入(既に導入されている場合は増量)した時点をエンドポイントとし、有効期間およびこれに影響を与える因子について解析した。【結果】対象は平均67.4歳、男性47例・女性45例、原疾患は膵癌79例・胆道癌11例・その他2例。初回評価においてVAS(平均)は術前6.93から術後2.96と有意な改善を認め、有効期間は中央値262日であった。単変量解析では年齢、術前疼痛期間、術後初回評価VAS値、術後補助療法の有無、さらにその効果(PDか否か)が有意な影響因子であった。多変量解析では術後VAS値2以上(p=0.01, OR4.16, 95%CI1.43-13.2)、術後補助療法の効果PD(p=0.03, OR7.48, 95%CI1.51-58.9)が有意な影響因子であった。【結語】全人的医療である疼痛緩和療法においては長期的な有効性こそが重要な要素といえる。今回の検討結果を踏まえて、CPNと麻薬性鎮痛剤との相補的な治療戦略を今後は検討していきたい。 |